円・丸(読み)まろい

精選版 日本国語大辞典 「円・丸」の意味・読み・例文・類語

まろ・い【円・丸】

〘形口〙 まろ・し 〘形ク〙 (「まるい」の古形。中世末期ごろに「まるい」が優勢となる)
円形である。輪のようである。
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「よき程の柱ばかりにて、赤くまろきもの積み置きたり」
② まるまっている。球状である。
※金刀比羅本平治(1220頃か)下「ひげきりは、つか・さやまろかりけるを」
③ かどかどしくない。おだやかである。
④ 欠けたところがない。人柄などが円満である。
⑤ 味がまろやかである。口あたりがやわらかい。
※青い月曜日(1965‐67)〈開高健〉二「一口ふくんでコクコクと噛んだ。〈略〉『よう寝てる。まろいワ』」
まろ‐げ
〘形動〙
まろ‐さ
〘名〙

まろ【円・丸】

[1] 〘形動〙
① 球状にかたまっているさま。また、円形のさま。まるいさま。まる。
※宇津保(970‐999頃)菊の宴「沈をまろにけづりたるぬきす・銀の半挿(はんざふ)
体型がふっくらとしているさま。丸々と太っているさま。
源氏(1001‐14頃)宿木「まろに美しく肥えたりし人の、すこし細やぎたるに」
③ あるまとまりの全体。
[2] 〘名〙 銭をいう。〔塵袋(1264‐88頃)〕
[語誌]平面的な円形を表わす「まと」「まとか」に対して「まろ」は本来円筒形や球形を表わしたものという。中世以降「まる」に転ずるとともに、平面、立体ともに意味するようになった。→「まる(丸)」の語誌

まろ・し【円・丸】

〘形ク〙 ⇒まろい(円)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android