同時多発テロ(読み)どうじたはつてろ(英語表記)September 11 Attacks

知恵蔵「同時多発テロ」の解説

同時多発テロ

2001年9月11日、ハイジャックされた2機の民間航空機がニューヨークの世界貿易センタービル(WTC、南北2棟)、1機が首都ワシントンの国防総省ビル、もう1機がペンシルベニア州ピッツバーグ郊外に墜落し、3025人の死者を出した自爆テロ事件。合計19人といわれる犯人は、ハイジャックしたのと同型機の操縦訓練を受けるなど、周到に計画、ニューヨークのケネディ空港、ボストン空港、ワシントンのナショナル空港をほぼ同時刻に離陸した民間機を離陸後まもなく乗っ取り、満タンの燃料を武器としてそれぞれの目標に突っ込み、乗員及び搭乗者の人質もろとも自爆した。こうした動きを事前に察知しながら、なぜ事件を未然に防ぐことができなかったのか、が問題となり、FBI、CIA、軍の諜報機関などが入手した情報が有効に活用できなかったとの反省から、国土安全保障省が新設された。また、9.11事件以後、犯人の特定やそのネットワークを緊急に捜索する必要から、愛国法(Patriot Act、01年10月)が制定され、アラブ系住民がFBIから取り調べの目的で召喚・拘束されたが、第2次世界大戦中収容所に送られた日系人のように、市民権侵害の疑いが指摘されている。一方、WTC地下爆破事件(1993年2月)、ケニア・タンザニア米大使館同時爆破事件(98年8月)、イエメン港イージス艦爆破事件(2000年10月)など、一連の事件と共にブッシュ政権は9.11事件もイスラム過激派オサマ・ビンラディンを犯人と断定、01年10月、アフガニスタンを攻撃、タリバーン政権を崩壊させたが、ビンラディンの所在は06年8月現在、未だ不明。さらに03年3月、米国は大量破壊兵器(WMD)を隠しているとしてイラクを攻撃、サダム・フセイン政権を崩壊させたが、WMDは発見されず、イラク戦争の「大義」は失われた。

(細谷正宏 同志社大学大学院アメリカ研究科教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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