墨斎(読み)ぼくさい

朝日日本歴史人物事典 「墨斎」の解説

墨斎

没年:明応1.5.16(1492.6.10)
生年:生年不詳
室町後期の禅僧,没倫紹等の画号。月婿,拾堕など多くの別号を持つ。一休宗純の法嗣酬恩庵住持となり,一休没後は大徳寺塔頭真珠庵の塔主となる。しばしば一休墨跡の代筆をし,水墨画を描いた。日本の肖像画中屈指の名作「一休和尚像」(東京国立博物館蔵)の賛は,墨斎が一休の自賛を写したもので,従来,画も墨斎が描いたものとされてきたが,墨斎よりも年代の遡る墨渓の手になるとする説が有力。墨斎の画技は墨渓とは異なり,あくまでも余技的な域にとどまる。作品に自賛の「山水図」(真珠庵蔵),「葡萄図」「瓜図」「蟻図」(いずれも個人蔵)などがある。

(山下裕二)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

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