六訂版 家庭医学大全科 「尋常性魚鱗癬」の解説
尋常性魚鱗癬
じんじょうせいぎょりんせん
Ichthyosis vulgaris
(皮膚の病気)
どんな病気か
全身性に皮膚が乾燥し、魚のうろこ状の
原因は何か
遺伝性で、
生化学的な検索では、フィラグリンが著しく減っていることが報告されています。電子顕微鏡を用いた観察でも、正常ケラトヒアリン
フィラグリンは、角質の水分保持に重要なはたらきをしています。フィラグリンが減少しているため皮膚が乾燥します。
症状の現れ方
生まれた時には病変はなく、乳幼児期になってから発症します。全身の皮膚が乾燥し、
白色のヌカのような鱗屑もしくは葉状の鱗屑が、四肢伸側や体幹にみられ、あたかも魚の皮膚のようなうろこ状を示してきます。しばしば
検査と診断
生後数カ月してから発症すること、下腿前面にうろこ状の鱗屑を示す病変を認めること、肘窩や膝窩(四肢関節屈曲部)に皮疹を生じないこと、優性遺伝であることなどにより診断は容易です。
治療の方法
①5%サリチル酸ワセリンを1日2~3回患部に塗ります。
②ビタミンA軟膏を1日数回患部に塗ります。
③
入浴時には脱脂力の弱い低刺激性の石鹸を使用するようにします。保湿入浴剤の使用も効果的です。
病気に気づいたらどうする
皮膚科専門医を受診して、病気の状態に合った適切な治療と病気についてのアドバイスを受けます。
関連項目
米田 耕造
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報