魚鱗癬(読み)ぎょりんせん(英語表記)ichthyosis

翻訳|ichthyosis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

魚鱗癬
ぎょりんせん
ichthyosis

皮膚が乾燥し,はがれて細かい落屑になり,魚の鱗のような外観を呈する状態をいう。いわゆる鮫肌 (さめはだ) である。代表的な疾患が尋常性魚鱗癬で,これは常染色体性優性遺伝疾患である。1~4歳頃に発症して 10歳頃まで進行し,思春期以降に軽快する。病変は四肢の外側,腰臀部,背部などに生じ,重症例では顔面の皮膚も乾燥性となる。肘窩,膝窩,鼠径部,外陰部などは冒されない。組織学的には角質肥厚,顆粒細胞の減少あるいは消失,汗腺,脂腺の萎縮がみられる。同様の症状を呈し,男児にのみ発症するものがあり,伴性遺伝性尋常性魚鱗癬という。これは上記の尋常性魚鱗癬と異なり,組織学的に顆粒細胞の消失をみない。

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家庭医学館の解説

ぎょりんせん【魚鱗癬 Ichthyosis】

[どんな病気か]
 魚鱗癬とは、さめ肌(はだ)のことで、皮膚の広い範囲がざらざらした状態となります。乳幼児期に始まり、冬の乾燥した時期に悪化し、夏には症状が目立たなくなる尋常性魚鱗癬(じんじょうせいぎょりんせん)がもっとも多く、100~200人に1人くらいの頻度です。
 そのほか、ざらざらした皮膚の状態によって、より重症の伴性劣性魚鱗癬(ばんせいれっせいぎょりんせん)、水疱性魚鱗癬性紅皮症(すいほうせいぎょりんせんせいこうひしょう)、葉状魚鱗癬(ようじょうぎょりんせん)がありますが、いずれもまれな先天性の皮膚疾患です。遺伝しますが、両親に症状がなくても子どもに現われることがあります。
[検査と診断]
 遺伝子の研究によって、伴性劣性魚鱗癬はステロイドサルファターゼ、水疱性魚鱗癬性紅皮症はケラチン、葉状魚鱗癬ではケラトヒアリンというたんぱくに異常があることがわかってきました。診断の確定、遺伝相談のためには、遺伝子検査も役立ちます。
[治療]
 軽症の尋常性魚鱗癬には、皮膚の表面をなめらかにする尿素含有軟膏(にょうそがんゆうなんこう)、ビタミンA含有軟膏がもっとも効きます。重症の場合は、エトレチナート剤(ビタミンA誘導体)を内服します。

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大辞林 第三版の解説

ぎょりんせん【魚鱗癬】

皮膚疾患の一。皮膚が乾燥してざらざらし、魚のうろこのような肌になる症状。鮫肌さめはだは、その俗称。

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精選版 日本国語大辞典の解説

ぎょりん‐せん【魚鱗癬】

〘名〙 皮膚が乾き、ひび割れして魚のうろこのようになる病気。生後一、二年から現われる。優性遺伝する。鮫肌(さめはだ)

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世界大百科事典内の魚鱗癬の言及

【角化症】より

…このうち発赤を伴い炎症症状の顕著なものは炎症性角化症と呼ばれる。
[種類]
 魚鱗癬(ぎよりんせん)(さめ肌)を代表とし,多くは遺伝性を示すが,その発症機序は大部分不明で,現在国際的に統一された分類はない。おもな疾患として次のものがある。…

【さめ肌(鮫肌)】より

…皮膚の特殊な乾燥,粗糙(そぞう)化(ざらざらになること)した状態の俗称。一般には欧米のfish skin,日本名の魚鱗癬(ぎよりんせん)ichthyosisに当たる変化を指すが,これを文字どおり〈サメの肌〉と解釈して毛孔性苔癬lichen pilarisを当てる向きや,さらに拡大して鳥肌goose skinまで含める見解もある。魚鱗癬は皮膚の乾燥,粗糙化と魚鱗様変化の出現を特徴とする病気で,種類も多いが,今日までその分類は国際的に統一をみていない。…

※「魚鱗癬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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