朝日日本歴史人物事典 「日向髪長媛」の解説
日向髪長媛
仁徳天皇の妃。日向国諸県君牛諸井の娘。髪長媛は美人の誉れ高く,応神天皇に召し上げられたが,『日本書紀』応神天皇13年条によると,皇子の大鷦鷯尊(のちの仁徳天皇)に見染められて妃となった。別伝では,諸県君牛が老いて致仕するかわりに髪長媛を貢上したと伝える。仁徳天皇の妃として大草香皇子と草香幡梭姫皇女を生む。諸県君は説話に登場する以外に確認できない氏族であり,髪長媛の実在も疑われる。諸県君に限らず九州南部の隼人などの豪族は娘を天皇家に入内させているが,『続日本紀』和銅3(710)年正月条には日向国が采女を貢上した記事があり,こうしたことの潤色かもしれない。
(小林茂文)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報