…第1次世界大戦前後の西欧で,現代文明への不安や焦燥,既存の美や秩序への反抗から生まれた前衛思想が,日本にも同時代的な影響を及ぼす。未来派,ダダ,アナーキズムなどの渦の中から,高橋新吉の《ダダイスト新吉の詩》(1923)や萩原恭次郎の《死刑宣告》(1925)などが生まれ,壺井繁治,岡本潤,小野十三郎らアナーキズム系の詩人らが登場した。これらの詩人は,中野重治に代表されるマルクス主義系の詩人らとともに,昭和初年代のプロレタリア詩運動の中核を形づくる。…
…23年,岡本潤,壺井繁治らとアナーキズム詩誌《赤と黒》を創刊,次いで詩誌《ダムダム》や前衛美術雑誌《マヴォ》に参加するなどアナーキスト詩人として活躍。25年,詩集《死刑宣告》を刊行したが,その虚無的な心情を絶望的狂躁に転換した内容と,大小の活字や記号を駆使したダイナミックな紙面構成とは詩壇に大きな衝撃を与えた。28年に帰郷したが,32年には謄写版による個人雑誌《クロポトキンを中心とした思想の研究》を創刊するなど活動を継続したが,晩年は軍国主義肯定の立場に傾いた。…
※「死刑宣告」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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