精選版 日本国語大辞典 の解説
うし【牛】 を 搏(う)つ虻(あぶ)は以(もっ)て虱(しらみ)を破(やぶ)るべからず
- ( 「史記‐項羽本紀」の「項羽曰、吾聞、秦軍囲二趙王鉅鹿一、疾引レ兵渡レ河、楚撃二其外一、趙応二其内一、破二秦軍一必矣。宋義曰、不レ然、夫搏レ牛之蝱、不レ可三以破二蟣蝨一」による ) 牛を打つほどのアブでも、シラミを殺すことはできない。小さくても堅固なものは破ることがむずかしい。
- [初出の実例]「わづかなる所をいひかすめ、罪にしづめんとの事は、そも地獄の政法か。牛を搏蝱は虱を破るべからずといへり」(出典:浮世草子・新小夜嵐(1715)一)
牛を搏つ虻は以て虱を破るべからずの補助注記
「史記」の「搏牛之蝱」を「牛の蝱を搏つも」と読んで、牛にたかっているアブは、毛の外にいるから手で打つことができるが、シラミは毛の中に隠れているから打つことができない、という意に解する説もある。