内科学 第10版 「異所性GHRH産生腫瘍」の解説
異所性GHRH産生腫瘍(異所性ホルモン産生腫瘍)
疫学
気管支カルチノイドや膵島癌などのAPUDomaに先端巨大症を伴うことがあり,実際にGHRHがはじめて同定されたのはヒト膵島腫瘍からである.異所性GHRH産生のうち気管支や消化管カルチノイドが約70%を占め,ついで膵島癌が多い.無症候性の異所性GHRH産生腫瘍もある.
病因・病態
血中GHRHの持続高値のため,下垂体のGH分泌細胞が慢性刺激を受け,過形成を呈する.そのため血中GHとIGF-Ⅰの高値をもたらし,先端巨大症を呈する.
臨床症状・検査成績・診断
症状は下垂体GH産生腫瘍による先端巨大症と同じである.血中GHとIGF-Ⅰの上昇やグルコース負荷後の血中GH非抑制など,負荷試験では鑑別できない.MRI画像では下垂体に腫瘤陰影が検出されず,確定診断には血中GHRHの測定が必要である.
治療
腫瘍の摘出術,化学療法を実施する.効果が不十分の場合は下垂体GH産生腫瘍と同様にブロモクリプチンやソマトスタチン誘導体の投与も考慮する.[中里雅光]
■文献
Brownlee M, Aiello LP, et al: Complications of Diabetes Mellitus. In: Williams Textbook of Endocrinology, 12th ed (Melmed S, Polonsky KS, et al), pp1462-1551, Saunders, Philadelphia, 2011.
Gagel RF: Endocrine manifestations of tumors: ectopic hormone production. In: Cecil Textbook of Medicine, 23rd ed, pp1047-1050, WB Saunders, Philadelphia, 2009.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報