米州自由貿易地域(読み)ベイシュウジユウボウエキチイキ(英語表記)Free‐Trade Area of The Americas

デジタル大辞泉 「米州自由貿易地域」の意味・読み・例文・類語

べいしゅう‐じゆうぼうえきちいき〔ベイシウジイウボウエキチヰキ〕【米州自由貿易地域】

エフ‐ティー‐エー‐エー(FTAA)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

知恵蔵 「米州自由貿易地域」の解説

米州自由貿易地域

南北アメリカ全域にまたがる自由貿易地域。1994年にキューバを除く米州34カ国の首脳が集まりマイアミで開催された第1回米州サミットさい、クリントン米大統領が提唱した。実現すれば総人口約8億、経済規模13兆ドル、推定貿易額3兆ドルの世界最大の自由貿易圏となる。90年にブッシュ(父)米大統領が「北はアラスカから南はフエゴ島まで」と提唱した米州活性化構想(EAI)が元にある。2001年の第3回米州サミットで、05年までに設立交渉を完了する方針を確認した。欧州や日本に対抗し西半球を網羅する経済ブロックの形成を狙ったものだ。その先鞭としてNAFTAが発足し、04年にはCAFTAも調印された。さらに米国はチリコロンビアペルーと2国間の自由貿易協定の締結を進めた。しかし、ブラジルを中心とした南米諸国は米国主導の経済統合に反発し、メルコスールや南米国家共同体の形で南米独自の経済圏の創設に向かっている。このため、05年交渉完了の計画は頓挫した。

(伊藤千尋 朝日新聞記者 / 2007年)


米州自由貿易地域

NAFTAの自由貿易圏を南米、カリブ海諸国(キューバを除く)にまで拡大させる構想起源は1990年に米国が中南米支援策として自由貿易地域を提唱したことにある。2001年4月にカナダのケベックで開かれた米州サミットで、05年末までにFTAAを創設することに合意した。実現すれば加盟34カ国、人口が8億人、GDPで12兆ドルという規模に達する。しかし、WTO(世界貿易機関)の多角主義と対立しかねない点に根強い懸念がある。ブッシュ大統領は、02年8月に一括交渉権限(ファストトラック)法が議会を通過したことで、FTAAの早期実現に意欲的であったが、アルゼンチンの経済危機が周辺諸国に波及したことにより、ブラジルはメルコスールを拠点として南米に独自の貿易圏を優先させる方針をとった。予定された発効期限は実現せず06年8月現在、交渉は中断している。

(石見徹 東京大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android