…イギリスの小説家A.C.ドイルが長編小説《緋色の研究》(1887)で初めて登場させた素人探偵で,この物語の語り手ジョン・H.ワトソン医師と共同で,ロンドンのベーカー街の下宿に住み,一般人が持ち込むなぞの事件や,警察が解決できなくて頼みに来る難事件を,明快な推理と機敏な行動力によって解決する。このホームズ探偵とワトソン医師の名コンビは,次の長編小説《四つの署名》(1890)でも登場するが,まだ評判は高まらなかった。…
… 以上のような土壌の上に,コナン・ドイルの〈シャーロック・ホームズ〉シリーズの花が開くこととなる。この名素人探偵が初登場するのは長編《緋色の研究》(1887)だが,形式的にはポーのデュパンと同じであり,またポーのアイデアをドイルはかなり借用している。しかしホームズ・シリーズが世界推理小説史上不滅の地位を今日なお占めているのは,創始者ポーのやらなかった新機軸を出したからである。…
※「緋色の研究」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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