歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「蘭奢待新田系図」の解説
出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報
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…この彦七が伝説的人物として後世に名を伝えるきっかけとなったのは,湊川合戦の直後に彦七が,その刀を奪い取ろうとする正成の亡霊たる鬼女に遭遇し,錯乱状態に陥ったが《大般若経》の功徳で救われたという《太平記》の所伝による。正成ならびにその一党が彦七に絡みつく話は,近松半二・竹田平七・竹本三郎兵衛合作による時代物の浄瑠璃《蘭奢待新田系図(らんじやたいにつたけいず)》(1765年(明和2)2月初演)や,福地桜痴作の新歌舞伎十八番の一つである舞踊劇《大森彦七》(1897,東京明治座初演)などにとり上げられ,人々に親しまれた。【横井 清】。…
…特に大塔宮,楠木正成,新田義貞ら南朝方の人物に関連のある事件を取り上げたものが多い。浄瑠璃では,1710年(宝永7)大坂竹本座の《吉野都女楠(よしののみやこおんなくすのき)》,14年(正徳4)秋以前竹本座の《相模入道千匹犬(さがみにゆうどうせんびきのいぬ)》などといった近松の作品を初めとする諸作のうち主要な人気曲としては,23年(享保8)2月竹本座の《大塔宮曦鎧(おおとうのみやあさひのよろい)》,46年(延享3)正月竹本座の《楠昔噺》,65年(明和2)2月竹本座の《蘭奢待新田系図(らんじやたいにつたけいず)》,70年正月江戸外記座の《神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし)》などがあげられよう。一方,歌舞伎でも,1699年(元禄12)正月大坂の音羽次郎三郎座の二の替り狂言《太平記》十番続,同三の替り《後醍醐天皇隠岐の配所》,1713年3月京都の亀屋座の《女楠》,同年11月江戸中村座の《女楠太平記》,27年11月同座《八陣太平記》以下,さまざまな作品が行われていたが,やはり上記の浄瑠璃諸曲を改作したものが好まれて繰り返し上演されている。…
※「蘭奢待新田系図」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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