外題(読み)ゲダイ

デジタル大辞泉 「外題」の意味・読み・例文・類語

げ‐だい【外題】

書物・掛け軸などの表紙に記してある書名・題名。→内題
上方で、歌舞伎浄瑠璃の題名のこと。江戸では、名題なだいという。芸題
古文書で、申文もうしぶみ解状げじょうなどの上申文書の端や奥などに、上位者が申請内容に対する裁決・認証の旨を記したもの。
[類語]題名題目題号標題表題内題名題なだい・作品名・書名書目編目演題画題タイトル仮題原題

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精選版 日本国語大辞典 「外題」の意味・読み・例文・類語

げ‐だい【外題】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「げ」は「外」の呉音 )
  2. 書物の表紙や巻き物の巻き終わりの部分に貼(は)った、短冊(たんざく)形の紙に書かれた表題。また、その紙。表紙をめくった内側に書いてある内題に対していう。題簽(だいせん)。また、転じて、書名。
    1. [初出の実例]「『是は女一宮には見せたりや』大将『見給つけし所にて、下だいばかりをなん』」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開中)
  3. 申文(もうしぶみ)解状(げじょう)などの上申文書の袖または奥に書きつけて、その状に対する裁決のしるしとして与えたもの。外題状。
    1. [初出の実例]「額云。凡被官符京物。諸国之解文者。先必進官。官外題下物納所司耳」(出典:令集解(868)公式)
  4. 上方で歌舞伎、浄瑠璃、落語などの題名のこと。江戸では名題(なだい)という。
    1. [初出の実例]「さまざまにげだいをかへて語るそが」(出典:雑俳・うき世笠(1703))
  5. げだいかんばん(外題看板)」の略。
    1. [初出の実例]「江戸にて座元といふを名代といひ、仕切場といふを勘定場といひ、大名題といふを外題といひ」(出典:随筆・及瓜漫筆(1859)中)

外題の補助注記

は「芸題」とも書く。

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図書館情報学用語辞典 第5版 「外題」の解説

外題

「げだい」と読む.表紙に示されている書名.和漢書本文巻首や序,目次などにある内題に対する語.外題は表紙に直接に手書きする場合と,書名を書いたり印刷したりした題簽を貼り付ける場合とがある.そのため,題簽を貼り外題ともいう.書名が印刷された題簽を印刷題簽といい,印刷題簽に示されている書名を印刷外題という.題簽に手で書かれた書名を書き外題という.和漢書の刊本では,印刷題簽を貼り付けるのが通例である.

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「外題」の意味・わかりやすい解説

外題
げだい

(1)古文書の様式の一つ。申状(もうしじょう)・解状(げじょう)などの上申文書の袖(そで)や奥に、上級者がその文書に対する裁決や証明・認可の旨を記したもの。平安時代には私領の譲与などに際して、国司(こくし)の承認を求める解(げ)を提出し、国判を受けねばならなかったが、これは通常、解の余白に記された。また、鎌倉幕府では、初め御家人(ごけにん)の所領譲与に対して、その安堵(あんど)のため、幕府の下文(くだしぶみ)・下知状(げちじょう)が発給されていたが、1303年(嘉元1)から、こうした譲与安堵には、下文などは発給せず、申請者の提出した譲状(ゆずりじょう)の袖にその譲与を安堵する旨を、執権(しっけん)・連署(れんしょ)の署判による下知状の様式で書き込むこととした。これを「安堵の外題」という。

(2)掛軸・書物などの表紙に記す表題。表紙にじかに記したり、細長い短冊型の紙(題簽(だいせん))に書し、表紙や巻子(かんす)の外側端に貼(は)ったりする。

(3)歌舞伎(かぶき)や浄瑠璃(じょうるり)などの脚本の題名。芸題。おもに上方(かみがた)における名称で、江戸では名題(なだい)という。

[千々和到]

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改訂新版 世界大百科事典 「外題」の意味・わかりやすい解説

外題 (げだい)

書物や浄瑠璃,歌舞伎狂言の題。書物の表紙に記す書名をいい,扉や本文の初めに書かれる内題に対する。題簽(だいせん)に記して表紙に貼られる。浄瑠璃や歌舞伎狂言の題を外題というのは上方の用法で,江戸では名題(なだい)という。また,裁許を請うために下から奉る解状(げじよう)((げ))の端に管轄の長が自署してあたえる裁決文を外題という。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「外題」の意味・わかりやすい解説

外題
げだい

(1) 書籍,掛物,巻物などの外側につける題箋のこと。紙,絹に墨書したものが多いが,特殊な例としては『平家納経』のごとく文字金具の外題に透彫 (すかしぼり) 金具で飾ったものがある。 (2) 歌舞伎,浄瑠璃用語。上演される歌舞伎,浄瑠璃の題名。名題 (なだい) ,芸題ともいう。元禄以後から字数を奇数とし,特殊な読み方をする造字を用いることが盛んになった。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「外題」の解説

外題
げだい

古代~中世,役所や上級者に文書(解状(げじょう)・譲状・軍忠状・着到状など)で上申した際,その文書の袖・奥あるいは裏に,内容を承認した旨の文言と責任者の署判が記されることがあった。この上申文書の余白に記されたものが外題で,免判・証判ともいった。

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百科事典マイペディア 「外題」の意味・わかりやすい解説

外題【げだい】

浄瑠璃・歌舞伎で,上演される演目の題名のこと。芸題,名題(なだい)とも。字数を5,7,9字など奇数に定める。一般には略称・通称で呼ぶことが多いので,その場合正式の題を本外題,本名題という。

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世界大百科事典(旧版)内の外題の言及

【裁判】より

…守護大名,戦国大名,国人の裁判のなかには〈調停〉の意味が濃い場合があり,近所之儀などと称される紛争解決原理となっている。重要なことは,中世では訴えが提起されたとき,裁判権者がその訴えに理ありと認めればただちに判決する手続(入門(いりかど)という)があり,訴状の右余白に承認文言を記す(外題(げだい))ような解決法があり,被告がこれに承服しないとき初めて理非の審理に入る方向が生ずる。鎌倉幕府下で緻密詳細な訴訟=裁判の手続法が展開するのは,中世の裁判の一側面なのであり,すべてをおおうものではない。…

【証判】より

…解(げ),申状などの上申文書,およびその系譜をひく紛失状,着到状,軍忠状,または解に起源を有する売券,譲状,施入状(寄進状)などの土地財産に関する証文類の余白に記された,その文書に対する承認,確認などの意をあらわす文言と署判のこと。提出された文書の袖,奥,たまには裏に記し,外題(げだい)とも与判ともいう。律令制下では土地所有権の移動は政府の許可を必要としたから,その売買,譲渡,施入(寄進)にあたっては,京職,国司,郡司の承認を求める解を提出する。…

【製本】より

…つぎに表紙の裏側中央部に少量の糊をつけ,その上に中身をのせ,竹べらを用いて背,天地,前小口の順で表紙を中身との間に折り込む。表裏とも表紙をかけ終わったら,表紙と中身の間の前小口に幅6mmほど糊入れし,背にそって4ヵ所を絹糸でとじ,標題紙(題簽(だいせん)または外題(げだい)ともいう)をはる。標題紙の幅は,本の大きさによって一定しない。…

【題簽】より

…文字が肉筆で書かれたものもあり,それはとくに書題簽という。しかし,必ずしも題簽を用いるとは限らず,今日の書物のように表紙に直接書き記したものもあり,これを外題(げだい)と呼んでいる。ともあれ題簽は文書を保存しようとするところに生まれ,それを整理するのに便利なようにくふうしたものである。…

【名題】より

…(1)歌舞伎や人形浄瑠璃の題名。江戸の用語で,上方では外題(げだい)(芸題)という。名題は作品の顔とでもいうべきものであったから,作者たちはそれに心を遣った。…

【表紙】より

…仮製本や雑誌では,厚手の1枚の紙だけを用いて前後の表紙とする〈くるみ表紙〉が多い。またほとんどの場合表紙にはその本の題名が示されるが,これを表題,または外題(げだい)といい,これを小紙片に印刷・手書きして表紙にはりつけることもあるが,この小紙片を題簽(だいせん)という。製本【上田 弘】。…

【複合文書】より

…この場合には本来の形は1通の文書であるが,その中に2通の文書が収められていることになり,これを複合文書という。平安末期ごろには各地の荘園の住人等は,国役(こくやく)等の免除を請う解状(げじよう)を国司に提出するが,国司はこの解状の右端の余白部分にそれを認める旨を記して(これを国司免判(こくしめんばん)あるいは外題(げだい)という)返却する。すなわち本来は1通の解状であるが,それに国司免判が加えられ2通の文書の役割をしているのである。…

※「外題」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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