輝・耀(読み)かがやく

精選版 日本国語大辞典 「輝・耀」の意味・読み・例文・類語

かがや・く【輝・耀】

[1] 〘自カ五(四)〙 (古くは「かかやく」)
① まぶしいほど四方に光を発する。きらきらと美しく光る。また、つややかな美しさを発する。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)二「妙頗黎の網のごとくして暎(カカヤケ)る金の躯をば」
源氏(1001‐14頃)浮舟「山は鏡をかけたるやうにきらきらと夕日にかかやきたるに」
② (「目輝く」の形で) 美しさ、はなやかさなどのために、まぶしく感じる。
※源氏(1001‐14頃)絵合「絵は常則、手は道風なれば、今めかしうをかしげに目もかかやくまで見ゆ」
※浜松中納言(11C中)二「めでたき御装束のにほひをととのへて、めづらしう立ち出で給ふ、目かかやくばかりなり」
③ 恥ずかしくて顔をほてらせる。顔を赤くして恥ずかしがる。
※源氏(1001‐14頃)総角「みぐるしげなる人々もかかやきかくれぬるほどに」
今昔(1120頃か)二七「女、扇を以て顔に指隠して、かかやくを」
④ (希望などがあって)明るさがあふれる。(名誉や地位などを得て)はなばなしく感じられる。
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉三「華やかな、耀(カガヤ)いた未来の外は夢にも想像に浮ぶまい」
妄想(1911)〈森鴎外〉「これまでの洋行帰りは、希望に耀(カガヤ)く顔をして」
[2] 〘他カ四〙 恥ずかしい思いをさせる。恥をかかせる。
※枕(10C終)八四「昼も夜も来る人を、なにしにかは『なし』ともかかやきかへさむ」

かがやかし・い【輝・耀】

〘形口〙 かがやかし 〘形シク〙 (古くは「かかやかし」)
① 四方に光を発してまぶしいほどである。美しくきらきら光っている。
讚岐典侍(1108頃)下「御前(ごぜん)のたちしは、〈略〉かかやかしきまで見るに」
② 顔が赤くなるほど恥ずかしい。おもはゆい。てれくさい。
紫式部日記(1010頃か)寛弘五年九月一一日「いとど物はしたなくて、かかやかしき心地すれば」
※源氏(1001‐14頃)帚木「隠れしのびずかかやかしからずいらへつつ」
③ 希望などがあって明るさがいっぱいである。名誉などを得てはなばなしい。思わず頭が下がるほど立派である。
蓼喰ふ虫(1928‐29)〈谷崎潤一郎〉三「何かしら光かがやかしい精神、崇高な感激を与へられるものでなければ」
かがやかし‐げ
〘形動〙
かがやかし‐さ
〘名〙

かがやか・す【輝・耀】

〘他サ五(四)〙 (古くは「かかやかす」)
① まぶしいほど四方に光が出るようにする。きらきらと光らせる。
蜻蛉(974頃)中「人はめでたくつくりかかやかしつるところに、明日なむこよひなむとののしるなれど」
※紫式部日記(1010頃か)寛弘五年九月一一日「少将の君は秋の草むら蝶・鳥などを白銀(しろかね)して作りかかやかしたり」
② 美しさ、はなやかさなどによって、まぶしく感じさせる。
※大慈恩寺三蔵法師伝永久四年点(1116)二「帳は金花を以て之を装へり。人の目を爛(てら)し眩(カカヤカス)
③ (名声威光などを)世にはなばなしく示す。
太平記(14C後)一九「武を九泉の先に耀(カカヤカ)す」
※安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉三「我大皇神国の貴威を地球一円に輝(カガヤ)かし」
④ (熱意、希望などの気持を)目や顔にあふれさせる。
※破戒(1906)〈島崎藤村〉七「敬慕の表情を満面に輝かし乍ら」

かがやき【輝・耀】

〘名〙 (古くは「かかやき」)
① 四方に光を発すること。また、その光。きらきらとした美しい光。
※和英語林集成(初版)(1867)「ヒ、ツキ、ホシナドノ kagayaki(カガヤキ)
② はなばなしくりっぱであること。明るさにみちあふれていること。かがやかしさ。
※うた日記(1907)〈森鴎外〉たまくるところ「司令部の玉あこがれはかがやきの舞台を作者うらやむに似たり」

かがやかし【輝・耀】

〘形シク〙 ⇒かがやかしい(輝)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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