精選版 日本国語大辞典 「迫田」の意味・読み・例文・類語
さこ‐だ【迫田】
- 〘 名詞 〙 山の谷あいにある田。〔俚言集覧(1797頃)〕
…また〈狭間(はざま)〉も同様の意味の語である。このような小さな谷に開かれた田が迫田であり,《俚言集覧》に〈美作(みまさか)にて山の尾と尾との間をさこと云ふ。其処に小水ありて田有をさこ田と云ふ〉とある。…
…古代以来,各時代で棚田型の開田は行われたが,小規模な労働力で開墾できるため,とくに中世以降に活発な棚田型開発が進行した。〈迫田〉〈沢田〉〈谷田〉〈谷戸田〉〈山田〉などと呼ばれる田地がそれである。そして,棚田は山田とともに,鎌倉時代末期ごろから,山城,大和,近江,和泉,紀伊などの畿内近国の史料上に急に多く見られるようになる。…
…谷戸は湧水を用水とすることができ,小規模な開墾が可能であったから,とくに中世には,谷戸のような谷の開田が盛んに行われ,中世の代表的な耕地景観をつくりだした。そのような谷間の田を関東地方では〈谷戸田〉〈谷地田(やちだ)〉,近畿地方では〈棚田〉〈山田〉,中国地方では〈迫田(さこだ)〉などと呼んでいる。【黒田 日出男】。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」