太田全斎編の国語辞書。26巻。全斎(1759-1829)は備後福山藩士で漢学者。音韻の研究でも知られる。本書の成立は不明だが,1797年(寛政9)から1829年(文政12)までの間と考えられる。《雅言集覧》《和訓栞(わくんのしおり)》とともに,近世の三大国語辞書と目される。村田了阿編と誤り伝えられたが,俗諺を集めた《諺苑(げんえん)》が発見され,全斎の手になることが明らかになった。《諺苑》に,俗語,漢語,仏語,方言などの類を増補し,改編したのが本書である。あ・い・う・え・おの5集に分け,それぞれを五十音の横段に配列するという特異な五十音順になっている。1900年,井上頼圀,近藤瓶城が現行の五十音順に改編・増補し,《増補 俚言集覧》として刊行してから一般に広まった。
執筆者:前田 富祺
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国語辞書。26巻。太田全斎(おおたぜんさい)(1759―1829)の著『諺苑(げんえん)』をもとに増補改編されたもの。『雅言集覧(がげんしゅうらん)』に対して名づけられたもので、俗諺(ぞくげん)、俗語のほか漢語、仏教語、固有名詞などを豊富に収録しており、江戸時代の口語語彙(ごい)集として注目される。五十音図の横段の順序(アカサ…イキシ…)に第二音節まで従って語を配列し、語釈を加え、出典を示す。写本で伝わってきたが、井上頼圀(よりくに)・近藤瓶城(みかき)が現行の五十音順に改編、さらに増補して『増補俚言集覧』三冊(1899~1900)として刊行された。
[沖森卓也]
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