都甲氏(読み)とごううじ

改訂新版 世界大百科事典 「都甲氏」の意味・わかりやすい解説

都甲氏 (とごううじ)

豊後国国東(くにさき)郡都甲荘(現,大分県豊後高田市)を本貫とする中世の武家。開発領主の左近大夫源経俊は同荘を平安末期ごろに宇佐八幡弥勒寺に寄進し,荘官職に任じられた。都甲荘の文書上の初見は1161年(応保1)3月の弥勒寺留守所下文。経俊の女が速見郡山香(やまが)郷司大神(おおが)貞正に嫁し,その子が都甲荘荘官職を継承した。その後3代は大神姓を称したが,庶子の家実が都甲を姓とし荘官職を保持した。惣領家が山香郷司職を,庶子家が都甲荘荘官職を継承したものと考えられる。都甲氏は文永・弘安の両役では筑前鳥飼浜や肥前鷹島に出陣した。この間の1267年(文永4)の譲状に都甲半分地頭職の語が見え,分割相続の行われたことがわかる。南北朝期には北朝に属し,九州探題今川貞世に従って各地を転戦した。戦国時代になると守護大名大友氏の家臣化し,着到状等に都甲氏の名前が散見される。90通の〈都甲文書〉が保存されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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