知恵蔵 「Reader」の解説
Reader
Readerには、6型(インチ)の「Touch Edition」と5型の「Pocket Edition」の2種類があり (2011年1月時点)、両製品とも、解像度600×800ドット、16階調グレースケール、光学式クリアタッチパネルで、内蔵メモリー約2GB(使用可能領域1.4GB)、マイクロUSB端子を持つ。なお、「Touch Edition」にはメモリースティック PRO デュオとSDメモリーカード用のスロットが搭載されており、音楽再生も可能。
Readerには約1400冊の書籍が格納でき、テキストベースのXMDFファイルを1日約75分間、約3ページ/1分で読書した場合なら、約 14日間もバッテリーが持続する。また、「Touch Edition」が215g、 「Pocket Edition」が115gととても軽量なため、大量の書籍を気軽に持ち運び、長時間読書ができる点が最大の特徴と言える。
Readerで電子書籍を読むには、まずReaderとパソコンを付属のUSBケーブルで接続し、「eBook Transfer for Reader」というソフトウエアをインストールしなければならない。次に「My Sony Club」(入会費・年会費無料)に登録したメールアドレスとパスワードを利用して、ソニーが電子ブックストア「Reader Store」から読みたい本を購入、ダウンロードする。
Reader Storeの蔵書は現在1万冊程度。日本ではこれまで、コンテンツ不足や端末が高価だった等の理由から電子書籍への需要が高まらず、ソニーは2004 年に端末「LIBRIe」(リブリエ)を発売したが、07年に撤退した過去がある。電子書籍事業を先行し50万冊以上もの蔵書を持つ「Kindle Store」でさえ日本向けのサービスは展開していない。しかし近年、スマートフォンやタブレット端末の普及も手伝って、ようやく電子ブックへの関心が高まってきたようだ。
10年12月には「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とシャープが、電子ブックストア「TSUTAYA GALAPAGOS」をオープンさせた。同ストアは、シャープの電子書籍端末「GALAPAGOS」を利用するサービスで、現在2万冊以上の蔵書を持つが、書籍以外にも雑誌やコミックがあり、映像配信サービスも予定しているため、書籍のみのReader Storeとはコンセプトが異なる。さらに、GALAPAGOSは電子ペーパーではなく、雑誌やコミックもフルカラーで楽しめるタブレット端末のため、長時間の読書のみを目的とするユーザーにはReaderがおすすめだ。
(横田一輝 ICTディレクター / 2011年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報