ソニー(読み)そにー

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソニー」の意味・わかりやすい解説

ソニー(株)
そにー

映像、音響分野を中心としたエレクトロニクスの世界的総合メーカー。1946年(昭和21)井深大(いぶかまさる)(1908―1997)、盛田昭夫(もりたあきお)(1921―1999)ら数名の技術者が創造的技術を理念に、東京・日本橋白木屋(後、東急百貨店日本橋店。1999年1月閉店)の3階を借りて設立した東京通信工業(株)が前身。当初は真空管電圧計などを製作していたが、1950年に日本で初めてテープレコーダーを完成、発売した。1953年にはトランジスタの研究を始め、1955年日本初のトランジスタラジオを発売。このとき商標にSONYを採用し、1958年には社名も現社名に改めた。1960年に世界最初の直視型トランジスタテレビを発売しテレビ市場に進出、1962年にマイクロテレビ、1968年には独創的なトリニトロン方式のカラーテレビを開発、注目を浴びた。VTRにも早くから取り組み、1965年に小型VTRを発売して家庭用市場を開拓、1971年にはビデオカセットプレーヤー、1975年には家庭用VTRベータマックスを発売した。オーディオ分野でも1977年に家庭用では世界最初のPCMオーディオユニット、1979年には軽量のステレオカセットプレーヤー「ウォークマン」を発売、人気を博した。1985年には世界に先駆けて8ミリビデオ、1992年(平成4)にはMD(ミニディスク)プレーヤーを発売している。また、1996年にパソコン「VAIO(バイオ)」、1999年にロボット犬「AIBO(アイボ)」を発売、いずれも同社の人気商品となった。

 国内ばかりでなく、世界市場を相手にという経営方針から輸出には当初より力を入れ、1960年以降は各国に生産、販売の現地法人を設立、さらに資金調達でも1961年に日本企業で初めてアメリカでADR(アメリカ預託証券)を発行し、1970年のニューヨークロンドンをはじめとして1981年までに10か国、18の証券取引所に上場した。また1972年からは家電製品を中心に海外製品の輸入業務も本格化している。1987年アメリカのCBSレコード(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)を、1989年コロンビア映画(現ソニー・ピクチャーズエンタテインメント)を買収。また、2001年4月には三井住友銀行、アメリカのJPモルガン・チェースと提携して、インターネット専業銀行ソニー銀行」を設立した。2005年アメリカの映画会社MGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)を、ソニーを含め、投資家グループや複数企業からなるコンソーシアムによって買収を完了。国内では2002年に音響機器メーカーのアイワを吸収合併。2004年プレイステーションなどの家庭用ゲーム機・ゲームソフトメーカーのソニー・コンピュータエンタテインメントを完全子会社化した。資本金6292億円、売上高8兆2957億円(2007年。連結ベース)。

[中村清司]

『ソニー広報センター編・刊『Genryu源流 ソニー創立50周年記念誌』(1996)』

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百科事典マイペディア 「ソニー」の意味・わかりやすい解説

ソニー[株]【ソニー】

大手電機メーカー。第2次世界大戦後の1946年井深大,盛田昭夫〔1921年―1999年〕らによって東京通信工業として設立,初期は真空管電圧測定機から電器ざぶとん,通信機などを手がけた。1958年現社名。テープレコーダー(1950年)の生産から出発,1953年トランジスター国産に成功,以後半導体素子とラジオ,テレビジョンなどその応用機器を中心に発展した。技術開発力にすぐれ,特に〈ウォークマン〉(1979年発売),8ミリビデオカメラなど製品を小型化する技術に定評がある。早くから世界市場に踏み出し,〈SONY〉ブランドは国際的知名度も高い。第2次大戦後の代表的成長企業である。同業他社に先駆けソフト産業に着目,ソニー系のレコード,映画など関連会社は世界でトップクラス。ゲーム機〈プレイステーション〉(1994年発売)も大ヒットし,2006年末には3代目となる〈プレイステーション3〉を発売した。さらにデジタル衛星放送へ出資し娯楽施設など新規事業にも取り組む。1997年からはパソコン市場にも参入(同年パソコン〈バイオ〉発売)。2000年に入るとソフト化と多角化がさらに進み,2001年にはソニー銀行を設立。2002年にはアイワを100%子会社化,その後合併した。2004年には米国映画会社大手のメトロ・ゴールドウィン・メイヤーを買収,2005年には同社初の外国人会長兼グループCEO就任でも注目された。2006年コニカミノルタのカメラ事業撤退に伴い,同社からデジタル一眼レフカメラ事業を継承した。しかし液晶薄型テレビでは自社パネル生産体制の構築に遅れ,TVゲームなどでも業績が低迷するなか,2008年の世界同時不況の直撃を受け経営悪化。2009年3月期には大幅赤字を計上した。生産拠点・人員削減などのリストラを含む構造改革に取り組んでいる。本社東京,事業所厚木ほか。資本金6309億円,2011年3月期売上高7兆1812億円,当期純利益マイナス2595億円。
→関連項目アイワ[株]大賀典雄カンパニー制度コニカ[株]コニカミノルタホールディングス[株]コロムビア映画[会社]執行役員ソニー銀行[株]ソニー生命保険[株]ソニー・ミュージックエンタテインメント[株]トランジスターラジオトリニトロン方式ミノルタ[株]盛田昭夫

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改訂新版 世界大百科事典 「ソニー」の意味・わかりやすい解説

ソニー[株]

日本を代表する国際的エレクトロニクス企業。前身である東京通信工業(株)が井深大(1908-97),盛田昭夫らによって設立されたのが1946年5月。同社は真空管電圧計,電磁音叉(おんさ),通信機器の試作研究・生産を行っていたが,50年7月には日本初のテープレコーダーG型を発売。また55年8月日本初のトランジスターラジオTR-55を発売。テープレコーダーとトランジスターラジオの生産は順調に進み,1950年代末までに同社の経営基盤は固まった。58年商標名(SONY)と社名を統一しソニー(株)と改めた(SONYは,ラテン語で音を意味するsonusと,かわいい坊やという意味の英語sonnyから命名)。59年6月エサキダイオード(トンネルダイオード)の試作に成功。60年2月ニューヨークにアメリカ現地法人を設立,以後海外市場への進出を本格化させ,翌61年には早くも〈SONY〉の商標を登録した国が100ヵ国を突破した。SONYブランドはHONDA(本田技研工業)とともに世界に知られることとなる。64年3月世界初の卓上型電子計算機を発表。同年11月世界初の家庭用ビデオテープレコーダー(VTR)を発表。68年4月世界初のトリニトロン方式カラーテレビを発表,大成功を収め,77年1月には累計生産台数1000万台を記録した。75年5月ベータマックス方式VTRを発表。77年9月世界初の家庭用PCM(パルス符号変調)オーディオ・ディスク・システムを発表した。

 技術開発力を武器にソニーは〈ソニー神話〉といわれるほどの急成長,高収益を達成した。2004年アメリカの大手映画会社メトロ・ゴールドウィン・メイヤーを買収するなど,映像・音響などソフト部門に力を入れている。現在の事業内容は,テレビ部門,音響機器部門,ビデオ機器部門その他部門から成る。資本金6217億円(2005年9月),売上高7兆1596億円(2005年3月期)。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ソニー」の意味・わかりやすい解説

ソニー
Sony Corporation

電子機器・家電メーカー。1946年井深大盛田昭夫が共同で東京通信工業として創立,1958年現社名に変更。1955年に日本初のトランジスタラジオ(→トランジスタ)を開発したのをはじめ,テープレコーダエサキダイオードトリニトロン型カラー受像管などの新製品を独自の技術で次々と開発。これらの製品はアメリカ合衆国をはじめ世界各国に輸出され,日本独自の技術開発の優秀さを世界に知らせるうえで大きく貢献した。1975年ベータマックス方式のビデオテープレコーダを発売。1979年に発売された携帯音楽プレーヤのウォークマンは大ヒット商品となった。1988年,アメリカの放送会社 CBSと 1968年に設立したシービーエス・ソニーレコード(→ソニー・ミュージックエンタテインメント)を買収,翌 1989年にはアメリカのコロンビア・ピクチャーズ・エンタテインメントを買収するなど,映像・音響のソフト部門にも参入した。1993年ソニー・コンピュータエンタテインメントを設立してゲーム事業を展開。1997年には家庭用パーソナルコンピュータの分野にも本格的に参入した。2002年アイワを吸収合併。2006年コニカミノルタホールディングスからデジタル一眼レフカメラに関する事業を継承。2010年電子書籍閲覧端末の販売を開始した(→電子出版)。通信事業,金融業も展開する。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「ソニー」の解説

ソニー

家電・音響機器企業。1946年(昭和21)井深大(いぶかまさる)・盛田昭夫らを中心に東京通信工業を設立。50年日本初のテープレコーダーを開発,55年トランジスタ・ラジオの商品化に成功,58年ソニーと改称,商標SONYと社名とを統一した。60年代以降テレビ・ビデオ・音響機器などに進出する一方,海外各地に現地法人・工場を設立して世界的企業に成長。89年(平成元)にはアメリカの映画会社コロンビアを買収。その後もゲーム機・携帯電話端末などに進出する一方,金融事業にも参入した。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「ソニー」の解説

ソニー

テレビや音響機器、パソコンなどの製造・販売を行う、世界でも最大級のAV機器メーカー。1946年設立。1979年に発売したヘッドホンステレオ「ウォークマン」が世界中で爆発的にヒット。1997年に「VAIO」シリーズを発売し、パソコン業界に参入。2005年には、薄型テレビ「BRAVIA」を発売。また、2006年には、コニカミノルタのデジタル一眼レフカメラの一部資産を引継ぎ、「α100」を発売した。特に音響・映像の分野で先進的な技術を発表している。

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「ソニー」の解説

ソニー

正式社名「ソニー株式会社」。英文社名「SONY CORPORATION」。電気機器製造業。昭和21年(1946)「東京通信工業株式会社」設立。同33年(1958)現在の社名に変更。本社は東京都港区港南。映像・音響機器メーカー。ゲーム機や映画・テレビ番組制作、金融事業など多角的に展開。東京(第1部)・ニューヨーク・ロンドンの各証券取引所上場。証券コード6758。

出典 講談社日本の企業がわかる事典2014-2015について 情報

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