世界大百科事典(旧版)内のaccidensの言及
【偶然】より
…もともと偶然の〈偶〉とは,偶数とか配偶の偶,つまり1と1が合して2となること,二つのものが〈出遇う〉こと(九鬼周造《偶然性の問題》1935)なのであるから,これこそが偶然のもっとも根源的な意味なのである。偶然をあらわすギリシア語のsymbebēkosやラテン語のaccidens,ドイツ語のZufall,英語のcontingencyにも,すべてsym‐,ac‐,zu‐,con‐といった2者の出遇い,何ものかの襲来を意味する前つづりが付されている。しかし,注意されねばならないのは,そうしたいくらでも起こりうる偶発的な出遇いが特に偶然として意識されるのは,その出遇いが,少なくとも一方の系列のその後の展開を左右する場合だということである。…
【西洋哲学】より
…しかしここでも,そうした無規定的な個物の〈がある(ト・ホティ・エスティン)〉という存在が,〈である(ト・ティ・エスティン)〉という存在によって補われてはじめてまったき存在者になると考えられているわけであり,そこには二つの〈ある〉の不安定な葛藤がうかがわれる。この〈ヒュポケイメノン〉がラテン語ではsubjectum(下に投げ出されてあるもの)と訳され,〈シュンベベコス〉がaccidens(偶有性)と訳されて,〈基体‐属性〉というこのとらえ方は中世のスコラ哲学や,さらには近代哲学にもそのまま受けつがれてゆくのである。
【主観‐客観と主体‐客体】
〈ヒュポケイメノン〉のラテン訳であるsubjectumという言葉は,スコラ哲学や近代初期の哲学においては,それ自体で存在し,もろもろの作用・性質・状態を担う〈基体〉という意味で使われていた。…
※「accidens」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」