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ものSache

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


もの
Sache

民法上,物 (「ぶつ」とも読む) とは,物権客体をいい,固体,液体などの有体物がその意味での物とされる。電気,ガスなどの無体物は物権の客体とならず,物ではないとされる。ただし刑法は窃盗,強盗の罪の章については,電気は財物とみなしているが,これは刑法上物とは管理可能物すべてを含む注意的規定であると理解されている。したがって,たとえば電気,ガスにも窃盗罪は成立する。物はそのうえに成立した物権関係の公示方法の違いによって不動産動産に分類される。またそのうえに成立した物権の帰属の仕方の特例を設ける必要から,主物と従物,元物と果実などに分類される。なお物の個数は独立した部分 (あるいは独立した容器に入った部分) ごとに数えるが,土地のような不動産の個数は,人為的に分割された部分「筆」ごとに数えられる。


ぶつ

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デジタル大辞泉の解説

ぶつ【物】

現物や物件のこと。もの。「を見せる」

ぶつ【物】[漢字項目]

[音]ブツ(漢) モツ(呉) [訓]もの ものする
学習漢字]3年
〈ブツ〉
もの。ものごと。「物資物質物体物欲遺物汚物怪物見物現物好物鉱物財物産物事物植物人物生物俗物動物毒物万物風物文物名物
一般の人々。世間。「物議物情物論
適当なものを探す。「物色
姿が見えなくなる。死ぬ。「物故
〈モツ〉もの。ものごと。「貨物禁物供物(くもつ)穀物作物書物食物進物臓物荷物
〈もの〉「物置物音物語物事獲物大物着物品物建物本物安物
[名のり]たね
[難読]物怪(もっけ)

もつ【物】[漢字項目]

ぶつ

もの【物】

[名]
空間のある部分を占め、人間の感覚でとらえることのできる形をもつ対象。
㋐物体。物品。「ごつごつしたに手が触れる」「山の上に光るがある」
㋑商品。また、その質。品質。「同じようなが大量に出回る」「高いがはよい」
㋒着物。衣服。「白っぽいを着る」
㋓食物。「歩きながらを食う」「がのどを通らない」
民法で、有体物権利の客体となりうるもの。
人間が考えることのできる形のない対象。
㋐何かの事柄・物事。「の役に立つ」「を思う」「恋という
㋑ことば。「あきれても言えない」
㋒文章。また、作品。「を書くのを商売にする」「この作品は十年前に描かれただ」
㋓学問。
「己れは此様(こん)な無学漢(わからずや)だのにお前は―が出来るからね」〈一葉たけくらべ
㋔物事の筋道。道理。理屈。「の順序をわきまえる」
妖怪・怨霊など、不可思議な霊力をもつ存在。「に憑(つ)かれる」「の怪」
(「…のもの」の形で)所有している物品・事物。所有物。「会社のを私する」「その企画は彼のだ」
他の語句を受けて、その語句の内容を体言化する形式名詞。
㋐判断などを強調して示す。「負けたのがよほどくやしかったと見える」「何をされるかわかったじゃない」
㋑感動する気持ちを強調して示す。「二人とも大きくなっただ」「悪いことはできないだ」
㋒(「…するものだ」の形で)それが当然であるという気持ちを示す。「先輩の忠告は聞くだ」「困ったときは助け合うだ」
㋓(「…したものだ」の形で)過去を思い出してなつかしむ気持ちを示す。「あの店にはよく二人で行っただ」
名詞の下に付いて複合語をつくる。
㋐その種類にはいる品物・作品の意を表す。「SF」「現代
㋑それに相当するもの、それだけの価値のあるもの、などの意を表す。「冷や汗」「表彰状」→もの[助詞]ものか[連語]ものかな[連語]ものかは[連語]ものから[接助]ものぞ[連語]もので[接助]ものなら[接助]ものの[接助]ものゆえ[接助]ものを[助詞]
[接頭]形容詞や形容動詞の語幹に付く。
なんとなくそのような状態であるという意を表す。「悲しい」「寂しい」「静か」
いかにもそうであるという意を表す。「めずらしい」「すさまじい」
[下接句]縁は異なもの味なもの自家薬籠中(やくろうちゅう)の物人は見かけによらぬもの故郷(ふるさと)は遠きにありて思うもの銘の物薬籠中の物

もん【物】

もの(物)」の音変化。近世後期頃から関東の言葉によく見られる。「うまいが食いたい」「何か書くはないか」「ばかなことをしただ」

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世界大百科事典 第2版の解説

もの【物】

法律上の概念として,物とは広義では権利の客体をさすことばである。たとえば土地,建物,自動車,家具,電気製品等々の物を客体として所有権その他の権利が成立するわけである。 もっとも,権利の種類によっては,物が直接的な権利の客体とならない場合がある。すなわち,さきにあげた所有権を中心とする物権では物が客体となるが(ただし,権利を客体とする権利質(民法362条以下),地上権などに対する抵当権(369条2項)といった例外がある),金銭の支払とか物の引渡しを求める権利である債権(間接的には物を客体とするといえようが)は,厳密には人(債務者)の給付行為(支払,引渡し)がその権利客体であり,人格権の客体は権利者それ自身である。

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大辞林 第三版の解説

ぶつ【物】

現物。もの。 「注文はあるが-がない」

もつ【物】

【 物 】
⇒ ぶつ〔物〕 [漢]

もの【物】

[2][0] ( 名 ) 〔形のある物体を初めとして、広く人間が知覚し思考し得る対象の一切を意味する。「こと(事)」が時間的に生起・消滅する現象を表すのに対して、「もの」はその現象を担う不変な実体を想定して用いる語である〕
物体。物品。 「階段に-を置くのは危険だ」 「窓から-が落ちて来た」
特に、経済的な価値をもった物品。また、その品質。 「 -は乏しくても、心は豊かでありたい」 「値段は安いが、-は確かだ」
対象を具体的に表現せず、漠然という語。何らかの対象。 「 -を言う」 「 -を思う」 「 -も食べない」 「 -のはずみ」 「 -の役に立たない」
対象を特定化せず、一般的・包括的にいう語。すべての対象。 「 -は考えようだ」 「 -には順序がある」
物事の筋道。道理。 「 -が分かっている人」
鬼や悪霊など、正体のとらえにくい対象を畏怖していう語。 「 -に憑かれる」 「 -の怪
取り上げる価値のある対象。ひとかどの存在。 「 -ともしない」 「 -の数ではない」 「 -になるかどうか」
思考の対象として取り上げる事物をさす語。物事。 「幸福という-はとかく失われやすい」 「日本的な-を好む」
一度名前を言ったあとで再びそれをさす時に、名前の代わりに用いる語。それ。 「あの映画は一度見た-だ」
(「…のもの」の形で)所有物。持ち物。 「自分の-には名前を書いておきなさい」 「人の-を借りる」
〘哲〙 〔 thing; ドイツ Ding〕
感知し得るさまざまな属性の統一的担い手としてのまとまりをもった空間的・時間的対象。狭義には、このもの・あのものと指し示し得る「机」「家」など外界に存在する感覚的個物をいうが、広義には思考の対象となり、命題の主語となり得るすべて、例えば心や価値などの非感覚的存在をも含めていう。
人格としては関係しない対象を「ひと」に対して「もの」という。
〘法〙 権利の客体とされる、排他的支配が可能な外界の一部をいい、有体物と無体物とに分けられる。民法上「物」は有体物に限られる。
種々の語の下に付いて複合語をつくる。
その分野・種類に入る品物や作品であることを表す。 「夏-」 「西陣-」 「三年-のワイン」 「現代-」
そういう事態を引き起こすような事柄であることを表す。 「それは切腹-だ」 「全く冷や汗-だった」
動詞の連用形に付いて、そのような動作の結果できた物品、そのような動作の対象となる物品であることを表す。 「塗り-」 「焼き-」 「食べ-」 「読み-」
(形式名詞)
(「…ものだ(である)」などの形で)
普遍的な傾向。 「どんな人もお世辞には弱い-だ」 「人間はとかく過去を美化したがる-らしい」
なすべきこと。 「そんな時は何も聞かずにいてあげる-だ」
過去にしばしば起こったこと。 「二人でよく遊んだ-だ」
(「…ものだ」の形で)感動・詠嘆を表す。…なあ。 「あの難関をよくくぐり抜けた-だ」 「故郷とはいい-だ」 「あの男にも困った-だ」
(「…ものか」「…ものではない」などの形で)否定を強調する。 「そんなことがある-か」 「誰が言う-ですか」 「何をするかわかった-ではない」
(「…ものと思われる」などの形で)判断を強調する。 「彼はもう帰った-と思われる」 「あきらめた-とみえて、その後何も言ってこない」
(「ものとする」の形で)…することとする。 「甲はその責任を負う-とする(契約書ナドノ文言)」
( 接頭 )
形容詞・形容動詞・動詞に付いて、何とはなしに、また、どことなくそのような状態である、の意を表す。 「 -寂しい」 「 -静か」 「 -古る」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


もの

私法上は権利の客体としての物をいう。民法の起草者は物の定義に際し、物権(典型的には所有権)を中心に考えたので「この法律において「物」とは、有体物をいう」と規定した(85条)。無体物、たとえば物権や債権などの権利、発明、著作などは民法上物とはされないが、財産的価値を有し取引の対象ともなりうるので、権利の客体としては物に準じて取り扱うことが必要となる。特許権、著作権などは無体財産権といわれる。
 民法第85条にいう有体物とは、排他的支配の可能性があればよいとされ、電気・熱などのエネルギーもこれに含まれると解されている。刑法第245条も窃盗罪につき電気を財物とみなす、と規定した。支配可能でなければならないので、日、月、空気、海洋は含まれないが、漁業権、公有水面埋立権の認められる一定区画はここにいう物といえる。また排他的な支配が可能でなければならないので、原則として独立した一個の物であることを要する(一物一権主義)。土地は一筆の土地が一個の物となり、建物などの合成物は全体として一個の物となる。これに対して土地の一部である山林の立木や未分離果実が独立して物権の客体とされ、工場の施設・設備が一括して一個の抵当権の客体とされることがある。さらに企業全体、あるいは在庫商品(集合物)が一個の担保物権の客体とされることもある。
 物は、取引の場面に応じ、動産・不動産、主物・従物(建物とその付属物など)、元物(げんぶつ)・果実(収益の元となるものと収益)、特定物・不特定物ないし種類物などに分類される。[伊藤高義]
『内田貴著『民法 第4版 総則・物権総論』(2008・東京大学出版会)』

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世界大百科事典内のの言及

【旗】より

…千葉常胤(ちばつねたね)が奥州追討にあたり源頼朝に献上した旗は,1丈2尺2幅で,その上部に伊勢大神宮,八幡大菩薩,下部に鳩2羽が白糸で縫いとられていたという(《吾妻鏡》)。旗指物【西垣 晴次】
[中国]
 〈はた〉を通称して,旗(き)あるいは旌旗(せいき)などというが,もともと〈旗〉〈旌〉ともに〈はた〉の一つの種類を表す語である。各種の旗を示す漢字は,もとよりこれにとどまらないし,金文の図象文字にも数多くみられる。…

※「物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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