知恵蔵 「F1品種」の解説 F1品種 異なる系統や品種の親を交配して得られる作物や家畜の優良品種のこと。1代目の雑種の子では、大きさ、耐性、収量、多産性などで、両親のいずれをもしのぐことがあり、20世紀初頭、米国でトウモロコシにおいて初めて開発され、生産量は増大した。現在の日本のほとんどの市販野菜はF1品種。子を生ませる必要のない、食肉用のブタやニワトリなどでもF1品種が飼育されている。イネなどの作物では、花の中に雄しべと雌しべが同居(自殖性)していて雑種を得るための交雑が容易でないため、花粉を作らない雄性不稔品種が開発されている。ハイブリッドライスは、自然界から探し出してきた雄性不稔遺伝子を交配法によって導入している。現在では、組み換えDNA技術を用いた遺伝子組み換え雄性不稔株が、自殖性、他殖性の作物で開発されている。 (川口啓明 科学ジャーナリスト / 菊地昌子 科学ジャーナリスト / 2007年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報