世界大百科事典(旧版)内のisorhythmの言及
【アルス・ノバ】より
…元来〈アルス・ノバ〉は作曲家兼理論家フィリップ・ド・ビトリーの音楽理論書(1320ころ)の題名で,高度な記譜法を完成することによって,13世紀フランスの音楽様式であるアルス・アンティカ(〈古い芸術〉)に対する〈新芸術〉のきわめて複雑なポリフォニー技法を説明したものである。そのような技法による作品は,特に複雑なリズムと理論的構造を特徴とし,一定のリズム型を反復することによって構成するイソリズムisorhythmの手法を編み出した。代表的作曲家にマショーがおり,ミサ曲,モテット,シャンソンなどを残した。…
【絶対音楽】より
…通常絶対音楽とされる曲が標題が隠されているものと解釈されたり,標題音楽であっても絶対音楽的に聴かれる場合がある。 音楽における純音楽的構成という契機は,14世紀のマショーが作曲した,同一リズム型を反復するアイソリズムisorhythmの手法によるモテットの統一的構成に,その一つの集中的なあらわれが見いだされる。それは声楽曲でありながら,ベートーベンのソナタのもつ抽象的構成の側面と同様〈絶対音楽的〉である。…
【モテット】より
…やがて1240年ころからモテトゥスの名は,その種の作風をもつ楽曲自体の呼称となり,付加声部の数も2声部,まれには3声部にまで増大し,グレゴリオ聖歌の部分を拡大した定旋律の上に,フランス語のテキストをもち,トルベール歌曲の流れを引く世俗歌曲が置かれるという聖俗混交の形も現れた。さらに14世紀には,イソリズムisorhythm(またはアイソリズム)と呼ばれる一定の長さのリズム型を,いわばリズム的フレーズとして,音高にかかわりなく1ないし全声部に適用した高度に技巧的な作風が現れた(マショー)。 これに対して,およそ1450年以降のルネサンス様式のモテットは,再び宗教的な性格に復帰するとともに,古典的な合唱ポリフォニーの技法の完成に伴って模倣法とホモフォニックな書法を適度に交替させ,表情豊かな美しい響きで,今日まで愛唱される多数の名曲を生み出した。…
※「isorhythm」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」