世界大百科事典(旧版)内の《Physiologos》の言及
【怪物】より
…そこには,アマゾン(好戦的な女族で,右の乳房を切り取っている),アンティポデス(足が逆向き),アストミ(口がなく,リンゴなどの香を嗅いで生きている),ブレミュアエ(頭を持たず,胸に顔が付いている),スキアポデス(大きな1本足を日傘のように使う)ほか,無数の異様な民族が挙げられている。また3~4世紀のアレクサンドリアでは,アリストテレスの著作などを流用した教訓的な動物誌〈フュシオロゴスPhysiologos〉が成立しており,怪物の記述を多数含んだ文献としてプリニウスとともに〈中世動物寓意譚(ベスティアリ)〉の主要な源泉となった。ここで一角獣や人魚についての基本的な記述はほぼ定まり,13世紀のトマ・ド・カンタンプレThomas de Cantinpréの《万象論》,14世紀のマンデビルJ.Mandevilleの《東方旅行記》などの中世文芸を通じて怪物誌が広く一般に浸透することになる。…
【ベスティアリ】より
…ユニコーンのような空想上の動物を含み,それらの形態,行動,習性を語りながら信仰や人生の教訓を与え,人間の諸性質を風刺する読物として,ヨーロッパ近代諸語のみならず,アラビア語,エチオピア語などにも翻訳された。起源は2世紀ごろアレクサンドリアで成立したといわれるギリシア語文献〈フュシオロゴスphysiologos〉にある。これは,アリストテレスの《動物誌》や大プリニウスの《博物誌》などを参考にしてキリスト教徒が作りあげた文書群であり,約50の動植物と鉱物の叙述から成る。…
※「《Physiologos》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」