デジタル大辞泉 「不法移民」の意味・読み・例文・類語 ふほう‐いみん〔フハフ‐〕【不法移民】 正式な手続きを経ずに、外国に入国し、そのまま定住している人。→不法滞在者 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
知恵蔵 「不法移民」の解説 不法移民 主にメキシコなど中南米から米国に正式な手続きを経ないで入国した「不法移民」は米国内に1200万人ほどいるといわれる。彼らは「アメリカン・ドリーム」というよりは、高賃金の仕事を求めて越境する。「不法」という後ろめたさもあって米国人より低賃金で働くため、米国の雇い主にとってもメリットがある。南西部(カリフォルニア、アリゾナ、テキサス)、南部(フロリダ、ノースカロライナ)だけではなく、ほぼ米国全土に住んでいる。これら不法移民に関して、連邦議会は2005年12月に下院案、06年5月に上院案の2つの法案を通過させたが、内容には大きな隔たりがある。簡単にいえば、下院案が厳重な国境警備によって不法移民の進入を阻止する一方で米国内の不法移民を強制送還するというものであるのに対し、上院案は、国境警備を厳重にするが、米国在住期間5年以上の不法移民には罰金・税金の納入や英語の習得など一定の条件の下に「一時労働者(guest‐worker)」として米国に引き続き滞在させ、その後正式な移民となる道を開くというものである。両案は両院協議会を通じて統合する必要があるが、今や最大のマイノリティーであるヒスパニック(Hispanic)は4300万人で全人口の15.3%を占め、連邦議会で1984年に9人だったヒスパニック系議員は05年には25人(うち2人は上院議員)に増え、政治的な影響力を強めているだけに、共和・民主両党にとっては06年11月の中間選挙も絡み、その実現にはかなりの難航が予想される。 (細谷正宏 同志社大学大学院アメリカ研究科教授 / 2007年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報