似非(読み)エセ

デジタル大辞泉 「似非」の意味・読み・例文・類語

えせ【似非/似非】

[接頭]名詞に付く。
似てはいるが本物ではない、にせものである、の意を表す。「―文化人」「―学問
つまらない、とるにたりない、質の悪い、の意を表す。
「―牛ならましかば、ひかれて落ちて、牛も損なはれまし」〈宇治拾遺・一〇〉
[形動ナリ]劣っているさま。つまらない。
「―なる男親を持たりて」〈・三〇七〉
[類語]偽物にせもの贋物偽物ぎぶつまがい物まがいもどきまやかし似る瓜二つ生き写し丸写しそのまま酷似相似似通うそっくり似寄る似寄り似付く類する類似近似肖似疑似空似紛らわしいカーボンコピー

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精選版 日本国語大辞典 「似非」の意味・読み・例文・類語

えせ【似非・似而非】

  1. [ 1 ] 〘 造語要素 〙
    1. 見かけはそれらしく見えるが、実はそうではないことを表わす。にせの。まやかし。「えせもの(似非者)」「えせもの(似非物)」など。
    2. 備えているはずの、また備えていなければならない要素、性質、才能、技量などが欠けている、あるいは劣っていることを表わす。本当のものらしくない。つまらない。とるにたりない。「えせうし(似非牛)」「えせき(似非木)」「えせざむらい(似非侍)」など。
    3. 並大抵ではない、一筋縄ではいかないの意を表わす。したたかな。「えせびと(似非人)」「えせもの(似非者)」など。
    4. ( 本当でない、まやかしの、などの意をこめて ) 非難、ののしり、あなどりなどの気持を表わす。「えせわらい(似非笑)」など。
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 ( 形動 )
    1. 見かけはそれらしく見えるが、実はそうではないこと。また、そのようなもの。にせ。
      1. [初出の実例]「似非(エセ)と野暮(こけ)とは我らが禁句」(出典:鉄幹子(1901)〈与謝野鉄幹〉落花吹面)
    2. 備えているはずの、また、備えていなければならない性質、才能、技量などが欠けている、あるいは劣っていること。また、そのようなもの。とるにたりないこと。ばかなこと。また、そのようなもの。→えせたり
      1. [初出の実例]「右衛門の尉なりける者の、えせなる男親を持たりて」(出典:枕草子(10C終)三〇七)

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