デジタル大辞泉
「止める」の意味・読み・例文・類語
とど・める【▽止める/▽留める/▽停める】
[動マ下一][文]とど・む[マ下二]
1 移動させないで、元の所にいさせる。おさえて行かせないようにする。さしとめる。「帰ろうとする客を―・める」「足を―・める」
2 元の形のままで、あとに残す。元の状態を保つ。「記録に―・める」「昔の姿を―・める」「原形を―・めない」
3 その程度・段階・範囲内におさめて、それから出ないようにする。「会費は一万円に―・める」「意見を聞くだけに―・める」
4 注意をそこに向ける。
「目をし―・めつれば…必ず癖は見つけらるるわざに侍る」〈紫式部日記〉
5 しとめる。
「日の暮れ方に至るまで、鹿一頭も―・めずして」〈曽我・八〉
[類語]残る・とどまる・居残る
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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と・める【止・留・停・泊】
- 〘 他動詞 マ行下一段活用 〙
[ 文語形 ]と・む 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙 - [ 一 ] 動きを停止させる。また、動こうとするものをおさえる。
- ① 動いているもの、動こうとするものを動かないようにする。進ませなくする。
- [初出の実例]「うち日さす宮に行く児をまがなしみ留(とむれ)ば苦しやればすべなし」(出典:万葉集(8C後)四・五三二)
- 「道すがら行きもやらず、車とめて、湯まゐりなどし給ふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)手習)
- ② それまで続いていたものを途絶えさせる。
- [初出の実例]「連哥のもとにあたるいそがし〈冬文〉 滝壺に柴押まげて音とめん〈越人〉」(出典:俳諧・春の日(1686))
- ③ 特に、生命を断つ。殺す。
- [初出の実例]「一人をとめんことは案のうち物こわきにかいごんで」(出典:浄瑠璃・出世景清(1685)五)
- ④ さえぎる。制止する。おしとめる。
- [初出の実例]「み立たしの島を見る時にはたづみ流るる涙止(とめ)そかねつる」(出典:万葉集(8C後)二・一七八)
- 「あまたの人におくれ侍りにける、身の憂へも、とめがたうこそ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)竹河)
- ⑤ 禁止する。さしとめる。
- [初出の実例]「その代り一年分払って立たっしゃい、さもないと、貴様の諸道具をとめるから、さう思はっしゃい」(出典:歌舞伎・盟三五大切(1825)大詰)
- 「それが為に四五日以来外出を禁(ト)められ」(出典:魔風恋風(1903)〈小杉天外〉前)
- ⑥ 固定させる。つなぎとめる。
- [初出の実例]「白露に風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞちりける〈文屋朝康〉」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)秋中・三〇八)
- [ 二 ] ある場所に、ある時間継続してとどめ置く。
- ① ( 泊 ) 宿泊させる。また、停泊させる。泊める。滞在させる。
- [初出の実例]「あが心 明石の浦に 船等米(トメ)て 浮寝をしつつ」(出典:万葉集(8C後)一五・三六二七)
- 「こりゃ小まん此旦那殿ちそうしてとめましや」(出典:浄瑠璃・丹波与作待夜の小室節(1707頃)中)
- ② 罰などとして、その場所を動かさずとどめおく。
- [初出の実例]「『おいらじゃねへよ、あの子だようヨ』『翌(あした)また留(トメ)られやうと思って、お師匠さんに云告てやらア』」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)前)
- ③ 香などを衣服にこもらせる。付着させる。
- [初出の実例]「月影のやどれる袖はせばくともとめても見ばや飽かぬ光を」(出典:源氏物語(1001‐14頃)須磨)
- 「白むくの寝巻に留(トメ)らるるかほりに」(出典:浮世草子・日本永代蔵(1688)四)
- ④ ( 「心をとめる」「目をとめる」の形で ) そのことに関心を持つ。注目する。
- [初出の実例]「あらし吹く尾のへの桜散らぬ間を心とめけるほどのはかなさ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)
- [ 三 ] しるして後に残す。とどめて後に残す。
- ① その場所にとどめ残す。後に残す。
- [初出の実例]「命あらばそれとも見まし人知れず岩根にとめし松のおひすゑ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)橋姫)
- ② 足跡をこの世に残す。すなわち、生命を保つ。生きながらえる。
- [初出の実例]「みづからは、かく心憂き宿世今は見果てつれば、この世に跡とむべきにもあらず」(出典:源氏物語(1001‐14頃)真木柱)
- ③ 書きしるして残す。書きとめる。
- [初出の実例]「腹の中の小言帳に委細留(ト)めて」(出典:二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉中)
とど・める【止・停・留】
- 〘 他動詞 マ行下一段活用 〙
[ 文語形 ]とど・む 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙 - ① 行くことができないようにする。その場から去らないようにする。
- [初出の実例]「波斯匿王と眷属衆との法の席を避し時には仏制止(トトメ)たまひたり」(出典:東大寺諷誦文平安初期点(830頃))
- ② 制する。抑止する。さしとめる。おさえる。
- [初出の実例]「思ふ空 やすくあらねば 歎かくを 等騰米(トドメ)もかねて 見渡せば 卯の花山の ほととぎす ねのみし鳴かゆ」(出典:万葉集(8C後)一七・四〇〇八)
- ③ 中止する。やめる。省く。略する。
- [初出の実例]「説経の講師は顔よき。講師の顔をつとまもらへたるこそ、その説く事の尊さも覚ゆれ。〈略〉このことはとどむべし」(出典:枕草子(10C終)三三)
- ④ (気持や注意を動かさず)一つのものに集中する。注ぐ。離れないようにする。つく。注意する。
- [初出の実例]「この歌はあるが中におもしろければ、心とどめて読まず腹にあぢはひて」(出典:伊勢物語(10C前)四四)
- ⑤ その場から移動しないようにさせる。つける。とめる。宿泊させる。滞在させる。
- [初出の実例]「夏麻引く海上潟の沖つ州に舟は等杼米(トドメ)むさ夜ふけにけり」(出典:万葉集(8C後)一四・三三四八)
- ⑥ あとに残す。遺留する。死後に残す。残して置く。残す。
- [初出の実例]「惜しと思ふ心は糸によられなむ散る花ごとにぬきてとどめむ〈素性〉」(出典:古今和歌集(905‐914)春下・一一四)
- ⑦ 滅びないようにする。生きながらえさせる。保持する。
- [初出の実例]「留(とどめ)えぬ命にしあればしきたへの家ゆは出でて雲隠りにき」(出典:万葉集(8C後)三・四六一)
- 「ほとんど原型をとどめないボロボロの着物を」(出典:海辺の光景(1959)〈安岡章太郎〉)
- ⑧ 殺す。とどめを刺す。けりをつける。
- [初出の実例]「保重が矢一つにてとどめたる鹿を」(出典:曾我物語(南北朝頃)八)
- ⑨ 最高のものと決める。
- [初出の実例]「我国の大樹は松にとどめたり」(出典:雑俳・柳多留‐四九(1810))
- ⑩ それ以上に及ぼさないようにする。その範囲から出ないようにする。それだけにする。
- [初出の実例]「実に日本一の不出来(ふでかし)彼一人に止(トド)めたり」(出典:西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉八)
止めるの補助注記
「とめる」が、事物や現象の進行をそこで終わりにさせることを表わす「瞬間動詞」であるのに対して、「とどめる」は終わりにさせるとともに、その動かない状態を続けさせることを表わす「継続動詞」である。
や・める【止・已・罷・辞】
- 〘 他動詞 マ行下一段活用 〙
[ 文語形 ]や・む 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙 - ① 続いてきた、ある動作、作用、状態を途絶えさせる。
- [初出の実例]「大前 小前宿禰が 金戸蔭 斯く立ち寄らね 雨立ち夜梅(ヤメ)む」(出典:日本書紀(720)安康即位前・歌謡)
- 「上のおごり費す所をやめ、民を撫で農をすすめば」(出典:徒然草(1331頃)一四二)
- ② 特に、就いていた職・地位などを退く。また、職業などから手を引く。
- [初出の実例]「トリモ、ケダモノモ ギヘイヲ yamete(ヤメテ)、〈略〉ヒロイ ノベニ デヤウテ サンクヮイ シタ」(出典:天草本伊曾保(1593)鳥と獣の事)
- 「薛能が、徐州の節度を、やめて、許州の忠武城を、鎮守して、居たる時分」(出典:三体詩素隠抄(1622)二)
- ③ これからしようとしていたことを中止する。
- [初出の実例]「いさめ申しかば、殿にいるる事をやめられけるには」(出典:平家物語(13C前)六)
- ④ 病気や癖などをなおす。
- [初出の実例]「医師(くすし)なり。御病もふとやめ奉りて」(出典:落窪物語(10C後)二)
- 「いかでかかる御癖やめ奉らん」(出典:源氏物語(1001‐14頃)蜻蛉)
- ⑤ 雨などが降り終わるのを待つ。
- [初出の実例]「にわかに夕だちする。〈略〉権兵衛、まづここのみせをかりてやめやう」(出典:咄本・笑長者(1780)白雨)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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止める
樹や枝の先端部にある生長点を除去すること。簡単に言えば枝を切ることを指すが、単に輪郭線を整えるためではなく、枝の立て替えや、実もの盆栽などで結実を確実なものにするために枝を短い状態にしておく、というニュアンスが強い。
出典 (株)近代出版盆栽用語集について 情報
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