精選版 日本国語大辞典 「賜・給」の意味・読み・例文・類語
たまわ・る たまはる【賜・給】
〘他ラ四〙
[一]
① 物や言葉などを受ける、もらうの意の謙譲語で、くれる人を敬う。いただく。頂戴する。また、人などをよこしていただく。たばる。とうばる。
※続日本紀‐神護景雲三年(769)一〇月一日・宣命「此の賜ふ帯を多麻波利弖(タマハリて)、汝等(いましたち)の心をととのへ直し」
② 特に、神から通行の許しをいただく。神の許しを得て通らせていただく。
※たまきはる(1219)「候(さぶら)ふかぎりの人々に薫物(たきもの)大きにまろがして、衣筥(ころもばこ)のふたに人のかずにしたがひておきならべて給はる」
※御伽草子・文正草子(室町末)「御はからひにて給はり候へ」
① ((一)①の補助動詞用法) 「てもらう」の意の謙譲語。…ていただく。
※今昔(1120頃か)二〇「今度の罪、己れに免(ゆる)し給らむと」
② (中世以降、(一)③の補助動詞用法) 「てくれる」の尊敬語。…てくださる。
たば・る【賜・給】
〘他ラ四〙
① 物を受ける、もらう意の謙譲語。いただく。頂戴する。たまわる。
※催馬楽(7C後‐8C)鷹の子「鷹の子は まろに多波良(タバラ)む」
※虎明本狂言・鞍馬参(室町末‐近世初)「なんぢはいつもくらまへ参るが、福をたばった事はなひか」
② 特に、神から通行の許しをいただく。神の許しを得て通らせていただく。たまわる。
※万葉(8C後)二〇・四四二四「色深く背なが衣は染めましを御坂(みさか)多婆良(タバラ)ばまさやかに見む」
③ (中世以降の用法) 物などをくれるの意の尊敬語。下さる。たまわる。
※日葡辞書(1603‐04)「Tabatta(タバッタ)〈訳〉 Tabari, u(タバル)の過去形。〈略〉ゴフクヲ tabatta(タバッタ)。すなわち、タカラヲ タマワッタ」
とうばり たうばり【賜・給】
※宇津保(970‐999頃)祭の使「大学・勧学院といふものは、〈略〉たうばりをおきたるところ」
たうばり【賜・給】
〘名〙 ⇒とうばり(賜・給)
たう・ぶ【賜・給】
〘他バ四〙 ⇒とうぶ(賜)(一)
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