世界大百科事典(旧版)内のśrutiの言及
【ダルマ・シャーストラ】より
…ベーダ以来のバラモン至上主義を反映して,バラモンすなわち祭官階級の利害を最重要視した規定の多いことが特徴としてあげられる。 〈ダルマ・シャーストラ〉の法源としては,ダルマ・スートラから継承したベーダ聖典の天啓〈シュルティśruti〉およびベーダに精通した人々による伝承〈スムリティsmṛti〉がまず第一にあげられるが,その他に有徳者の慣習〈シシュターチャーラśiṣṭācāra〉や地方,階級,家系の内部でそれぞれに成立した慣習法〈デーシャ・ジャーティ・クラ・ダルマdeśa‐jāti‐kula‐dharma〉を法源としてあげる文献も多い。 〈ダルマ・シャーストラ〉は,上述のとおり実際的な強制力をもった法令集ではなかったが,バラモン教およびそれから発展したヒンドゥー教の社会の中で,民衆の生活の規範として長期にわたり尊重された。…
【ベーダ】より
…それらの多くは歴史とともに湮滅(いんめつ)し,現在まで伝えられているのはそのごく小部分にすぎないが,それでもなお複雑な文献組織を呈している。バラモン教においては,〈ベーダ〉は人間の手になるものではなく,神の啓示を聖仙(リシṛṣi)が神秘的霊感として感得したものと考えられ,〈シュルティśruti(天啓)〉と呼ばれる。これに対して,聖仙が自ら叙述したものとされる文献群として〈スムリティsmṛti(聖伝)〉があり,さまざまな種類の文献を含むが,〈ベーダ〉に関連したものとしてとくに重要であるのが〈ベーダーンガvedāṅga〉である。…
※「śruti」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」