日本大百科全書(ニッポニカ) 「オイランヨウジ」の意味・わかりやすい解説
オイランヨウジ
おいらんようじ / 花魁楊枝
banded pipefish
[学] Doryrhamphus dactyliophorus
硬骨魚綱トゲウオ目ヨウジウオ科に属する海水魚。伊豆半島以南の太平洋沿岸、山口県の日本海沿岸、太平洋、インド洋に分布する。体が白くて、吻(ふん)端から尾びれ基底までの間に21~37本の暗褐色の横帯があることで他種と簡単に区別できる。吻は長くて、目の後縁と胸びれ基底中央までの距離より長い。各体輪(体を覆う環状の骨板)の隆起の後端は棘(きょく)状。第1体輪は著しく長く、第2体輪のおよそ2倍ある。卵はゼラチン質の物質で包まれて雄の腹面に産み付けられるが、育児嚢(のう)はほとんど発達しない。水深56メートル以浅のサンゴ礁や岩礁の隙間(すきま)や穴のなかで単独あるいはつがいでゆっくり遊泳し、ときには穴の天井で腹を上にして静止している。体長は18センチメートルほどになる。観賞魚として人気がある。
[尼岡邦夫]