日本大百科全書(ニッポニカ) 「キリウジカガンボ」の意味・わかりやすい解説
キリウジカガンボ
きりうじかがんぼ / 切蛆大蚊
rice crane fly
[学] Tipula aino
昆虫綱双翅(そうし)目糸角亜目カ群カガンボ科に属する昆虫。体長15~18ミリメートル、翅長18~20ミリメートル。体は主として灰褐色で、胸部背面には不明瞭(ふめいりょう)ながら数本の暗褐色縦条がある。はねは透明で褐色みを帯び、前縁に沿って顕著な褐色縦条があり、縁紋は濃褐色で顕著。年2世代、幼虫態で越冬する。卵は長径1ミリメートルで、湿った土の表面に産み付けられ、卵期は10日前後。幼虫は円筒状の淡い土色で、小さい頭部をもち、尾端には3対の肉状突起があり、成長すると体長30ミリメートルとなって土中で蛹化(ようか)する。蛹(さなぎ)は体長20ミリメートルで汚褐色。蛹期は10~14日。水苗代で種籾(たねもみ)の芽が食害され、生え出した苗が倒れかかって浮き苗となり、また田植後の本田で幼少株の根を食い荒らすのは、本種の幼虫による加害である。
[伊藤修四郎]