日本大百科全書(ニッポニカ) 「カガンボ」の意味・わかりやすい解説
カガンボ
かがんぼ / 大蚊
蚊ヶ母
crane flies
daddy-long-legs
昆虫綱双翅(そうし)目糸角亜目カ群カガンボ科Tipulidaeの昆虫の総称。カに似ているが、カよりも大形であるところから「カの母」の意味で名づけられた。したがって、一般によくいわれるガガンボの名は誤りである。体、はね、脚(あし)が細長いのが特徴で、全世界で1万種を超すと推定される大きい科である。
形態上変化に富み、類似種も多いので種類の同定もむずかしい。体の大きさでは、カほどの小さいものから、ミカドカガンボのようにはねの開張が8センチメートル以上となるものもある。このほか、触角がきわめて長くて体長の数倍に達するもの(ヒゲナガカガンボ)、触角が櫛歯(くしば)状のもの(クシヒゲカガンボ)、口吻(こうふん)が長く伸びたもの(クチナガカガンボ)、はねを欠き雪上をクモのような姿で歩くもの(ユキカガンボ)など特徴的である。幼虫は円筒状で、頭部は半頭形とよばれる小形であり、水中や湿った土砂中で生活する。
カガンボ類という場合には、カガンボ科のほかに、ヒメカガンボ科Limnobiidae、シリブトカガンボ科Cylindrotomidaeも含める。この3科の形態上の特徴は次のとおり。
(1)カガンボ科 小あごひげの末端節はハエ型で著しく長く、それ以前の3節の和よりも長い。また、はねの亜前縁脈の末端は下方に曲がって第1径脈(けいみゃく)で終わる。
(2)ヒメカガンボ科 小あごひげの末端部は短く、はねの亜前縁脈の末端は上方に曲がって前縁で終わる。また、はねの第1径脈は翅端で終わる。
(3)シリブトカガンボ科 小あごひげの形状はヒメナガカガンボ科とほぼ同じであるが、はねの第1径脈は第2、第3合流径脈に合体するか、またはそのあとに翅端で終わる。
[伊藤修四郎]