日本大百科全書(ニッポニカ) 「チン・ペン」の意味・わかりやすい解説
チン・ペン
ちんぺん
Chin Peng
(1922―2013)
マラヤ共産党指導者。陳平(チェンピン)ともいう。福建省出身の華人を父にマレー半島ペラ州に生まれる。本名はオン・ブーンフア。1938年共産党入党。1941~1945年の日本軍占領下の「マラヤ人民抗日軍」で活躍、イギリスのOBE勲章を受ける。1948年イギリス植民地当局の「非常事態(エマージェンシー)」宣言とともに地下潜行、党書記長として反英ゲリラ闘争を展開。1957年マラヤ独立前後に統一戦線路線に転じたが、1968年武装闘争再開。一時期、所在、生死とも不明だったが、1989年に姿を現し、マレーシア政府、タイ政府とマラヤ共産党との和平協定を締結した。これによりマラヤ共産党の武装闘争は終結したが、チン・ペンのマレーシアへの帰国は許されず、亡命先のタイで死去した。
[黒柳米司]