岩石学辞典 「テッシェン岩」の解説 テッシェン岩 ホーヘネガーは,ポーランドのシレジア(Silesia)地方のテッシェン(Teschen)近くの貫入岩石群にteschiniteという岩石名を与えた[Hohenegger : 1861].その後チェルマックはこの岩石群からピクライト(picrite)を分離し[Tschermak : 1866],ツィルケルは岩石名の綴りをtescheniteと改めた[Zirkel : 1866].さらにロールバッハはアナルサイト輝緑岩と分けて,この岩石群の中で角閃石を含む岩石に限定した[Rohrbach : 1885-1886].テッシェン岩はアルカリに富むアナルサイム─ドレライトまたは斑糲(はんれい)岩に相当する優黒質の岩石で,自形の紫色のオージャイトまたはエジリンオージャイトと,一般にバーケヴィ閃石のようなNa-角閃石を伴うのが特徴である.黒雲母または橄欖(かんらん)石も存在する.アルカリ斑糲岩またはドレライトで,斜長石がラブラドライトまたはそれよりCaに富むもので,単斜輝石は紫色~褐色で,アナルサイトを含むものをいう.橄欖石があれば橄欖石テッシェン岩という.長石はCaに富みしばしばアナルサイト化している.NaまたはKを含むマフィック鉱物が存在することでアナルサイム─ドレライトと区別される. 出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報