改訂新版 世界大百科事典 「オージャイト」の意味・わかりやすい解説
オージャイト
augite
Caに富む単斜輝石の一種で火成岩のもっとも普通な有色鉱物。〈普通輝石〉ともいう。主要化学組成は(Ca,Mg,Fe2⁺)2Si2O6で,少量のAl,Fe3⁺,Tiなどを含む。Ca/(Ca+Mg+Fe2⁺)が45~25%のものをオージャイト,25~15%のものをサブカルシックオージャイト,Mg/Feが1より小さいものはフェロオージャイトおよびサブカルシックフェロオージャイトと呼ぶ。TiO2を約3~5%含むものはチタンオージャイトという。緑・黒・褐色の短柱状結晶。モース硬度5.5~6,比重3.2~3.6。へき開がよく発達する。玄武岩や安山岩などマフィック~中間組成の火山岩の斑晶や石基,斑レイ岩やセン緑岩などの深成岩,Caに富むカンラン岩やパイロクシナイトなどの超マフィック岩など広範囲の岩石に含まれる。また比較的高温の広域変成岩,ホルンフェルスのような接触変成岩中にも産する。斑レイ岩の貫入岩では分化に伴うオージャイトの化学組成変化がよくわかる。チタンオージャイトはアルカリ質火成岩に特徴的である。月の岩石(とくに玄武岩),エコンドライトの一種や地球の海洋の岩石にはCa量が中間的で準安定な輝石が産する。名称はへき開面に光沢があることから,ギリシア語の〈光沢〉を意味する語aygēに由来する。
執筆者:永原 裕子
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