てん茶(読み)てんちゃ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「てん茶」の意味・わかりやすい解説

てん茶
てんちゃ / 碾茶

5月上旬の一番茶期に、多肥栽培の覆い下芽葉を摘採してつくられる茶。飲用時には抹茶(まっちゃ)にするが、挽臼(ひきうす)にかけるまでの状態を区別するため慣例でてん茶とよぶ。

[桑原穆夫]

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世界大百科事典(旧版)内のてん茶の言及

【チャ(茶)】より

…園当り収量(製茶量)は,摘採対象の芽の生育程度,摘採方法によって大きく異なるが,日本では10a当り300~400kg,インドなどで120~150kgが標準である。 特殊な栽培法として,摘採前約20日間,わら,こもなどで95%程度遮光する覆下(おいした∥おおいした)園があり,玉露,てん(碾)茶など高級茶を生産する。また,防霜も兼ね,寒冷紗(しや)などで60%程度遮光する場合もあり,このような園から,かぶせ茶が生産される。…

【挽茶】より

…碾茶とも書き,抹茶ともいう。玉露同様覆下園(おいしたえん)で育てた覆下茶を,揉捻(じゆうねん)することなく,蒸してそのまま乾燥し貯蔵する。この状態の茶葉を碾茶(てんちや)と呼び,これを茶臼でひいて粉末にしたものを飲用する。薄茶,濃茶(こいちや)の別があり,昔は使用される茶葉の部位などによって区別されていたが,現在では濃茶は甘味の多い濃厚なもの,薄茶はややあっさりした味のものになっている。いずれにせよ,使用する茶葉全体を粉末にして飲むので,茶葉の含有する葉緑素,植物繊維,タンニン,ビタミン,カフェインその他,すべての成分を利用することができる。…

※「てん茶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」