…日本のなべ料理には,なべで水煮したものを調味したつけ汁で食べるものと,なべの中で味をつけながら煮るものとの2種があり,前者には湯豆腐,ちりなべ,水炊き,しゃぶしゃぶなどあり,いずれもポンスしょうゆや土佐じょうゆなどをつけ汁とし,薬味には辛みの強いもみじおろしを使うことが多い。後者の味をつけながら煮るものには,すき焼,寄せなべ,魚(うお)すき,カキ(牡蠣)の土手なべ,ぼたんなべ,さくらなべ,ねぎまなどがある。魚すきは沖すきともいい,魚貝,野菜その他多種類の材料を薄めの煮汁で煮るもの,カキの土手なべ,ぼたんなべ,さくらなべはいずれもみそと割下(わりした)を用いて,カキ,イノシシ,馬肉を煮るもの。…
…みそ汁の実やなべ物の具のほか,刻んでそば,うどんや納豆の薬味にする。ネギそのものを味わうものとしては,刻んでみそと合わせるネギみそ,適宜の長さに切り,みりん,しょうゆ同量ほどを合わせたつけ汁をつけて焼く焼きネギなどが酒のさかなとされ,マグロのぶつ切りとともに煮ながら食べる〈ねぎまなべ〉は手軽で美味ななべ料理である。ネギは油脂や肉類とよく合うので,中国料理でもいため物その他に多用される。…
…こうしてマグロは庶民の愛好するところとなったが,現在,〈とろ〉と呼ばれる脂身は脂肪ぎらいの多い日本人の顧みるものではなかった。いまから数十年前でも〈とろ〉はまだ〈あら〉扱いされており,もっとも安直な菜としてネギとともに〈ねぎま〉にされるくらいであった。その〈とろ〉がいまや最高級のすし種として貴重品扱いされるようになったわけで,マグロこそはほんものの出世魚といえるかもしれない。…
※「ネギま!?」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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