…ところが,次の世代をこしらえて役目を終えた個体は,次代の若い個体にとっては限られた食物資源の競合者として,かえって有害な存在となるので,保証機構が解除されるか老化遺伝子が発現することによって,親世代の排除が行われるというのである。この説を支持する証拠として,生物の限界寿命はそれぞれの種に特有であること,ある種の生物では致死遺伝子の存在が指摘されていること,ある種の遺伝病が特定の年齢に発現すること,年をとると癌や種々の病気にかかりやすくなること,また遺伝的早老症(プロジェリアprogeria,ウェルナー症候群Werner syndrome)患者の培養細胞の寿命が正常者のものより短いことなどが挙げられ,遺伝子の中に老化や寿命を決めるか,少なくともひじょうに大きな影響をもつ因子が含まれているとする。(2)エラー説 老化や寿命は遺伝的に決められているのではなく,生命の維持に重要な自己増殖(複製)における情報の貯蔵・伝達・発現の過程が,時間がたつにしたがって損傷を受け,まちがいを生じて,秩序が乱れてくることが老化の原因になっているという考え方。…
※「プロジェリア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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