日本大百科全書(ニッポニカ) 「へび使い」の意味・わかりやすい解説
へび使い
へびつかい
文字どおり、へびを首など身体に巻き付けたり、笛を吹きながらそれにあわせて籠(かご)の中のへびを起き上がらせ踊らせたりしてへびを使う者のこと。へびには無毒のものと有毒のものとがあるが、コブラなどの猛毒のへびを使うインドのへび使いが、とくに世界的に有名である。サーカスなどで猛獣使いがいるが、これらとへび使いは区別される。人類には広くへび信仰、へびのトーテムなど、へびを神性視する慣習がある。へびは土地の神、あるいは雨を降らせる神として信仰される一方、毒へびにかまれればたちまち死ぬので恐ろしい動物でもある。いわば、へびに人類は魔性をみているわけである。したがって、へびに祈ることで招福除災を願ったり、雄・雌2匹のへびの絡み合いの絵で占いをしたりする所が多い。こうした神性魔性のへびを使いこなすへび使いには、一種の司祭的性格があったと考えられる。
[村田仁代]