一種(読み)いっしゅ

精選版 日本国語大辞典 「一種」の意味・読み・例文・類語

いっ‐しゅ【一種】

〘名〙
一つ種類。ひといろ。
※性霊集‐一(835頃)徒懐玉「夏月涼風、冬天淵風、一種之気、嗔喜不同」
平家(13C前)六「毎日に一種をば、入道相国のもとへ送られけり」 〔詩経疏‐召南・采蘋〕
② 同一の種類。同様のもの。また、同一種の中をさらに細かく分けたものの一つ。
※令集解(868)僧尼「古記云、苦使、謂役使一種也」 〔慧皎‐高僧伝・神異・宋京師杯度〕
③ (多く、「の」を伴って) どことなく異なってはいるが、その中に含めてもよいと思われる、ある種類。
史記抄(1477)一四「一種の薬の名であるやうなぞ」
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉七「一種の贅沢がして居たいのである」 〔梁簡文帝‐詠美人観画詩〕
④ (副詞的に用いて) どことなく他とちょっと異なっているさま。
当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉七「情痴(のろけ)に似て情痴にあらざる一種(イッシュ)奇妙不可思議の話しだ」
⑤ (ひといろの肴(さかな)の意から) 酒の肴(さかな)。〔易林本節用集(1597)〕
⑥ 通常郵便物の一つで、封緘(ふうかん)した手紙など。第一種郵便物。
自動車運転免許の一つで、旅客運送に関係しない普通の運転が許されるもの。第一種運転免許

ひと‐くさ【一種】

〘名〙 一つの種類。ひといろ。
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「指貫を脱ぎて奉り給へば、『否や、今一くさを』との給へば」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「一種」の意味・読み・例文・類語

いっ‐しゅ【一種】


㋐一つの種類。ひといろ。
同類の中で、少し異なるもの。「イルカクジラ一種である」
ある意味で、ほぼ同類と思われるもの。「彼は一種天才である」
(副詞的に用いて)どことなく、また、ちょっと他と異なっているさま。「一種独特の書体」「一種異様な雰囲気
[類語](1一類うち/(3固有独特特有独自個性的独創的異色異彩オリジナルオリジナリティーユニーク

ひと‐くさ【一種】

一種類。ひといろ。
「ただ荷葉かえふを―合はせ給へり」〈梅枝

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