ホンダジェット

共同通信ニュース用語解説 「ホンダジェット」の解説

ホンダジェット

ホンダ米国子会社が手がける小型ビジネスジェット機。現有機種は乗客乗員最大8人乗り。燃費性能の高さや静かで広い室内環境が実業家や富裕層から支持され、このクラスで世界有数の販売実績を誇る。エンジン主翼上面に置く独特の形状。1980年代、若手技術者だった藤野道格氏が航空機開発の本場米国に送り込まれ研究を始めるとともに製造工程の経験も積んだ。90年代後半にプロジェクトが正式にスタートして以降一貫して藤野氏が開発をけん引。2003年に実験機が初飛行。15年に米国で認証を取得した。現在、もう一回り大きい最大11人乗りの機種を開発中。

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知恵蔵 「ホンダジェット」の解説

ホンダジェット

本田技研工業が開発した小型のビジネスジェット機で、2003年に初飛行、06年に同社の航空機事業子会社ホンダエアクラフトカンパニーが受注開始、12年から量産機の引き渡し開始を予定している。自社製ターボファンエンジンHF120を搭載し、乗員2名、乗客5名(エアタクシー仕様は乗員2名、乗客6名)で、胴体後部に約1600リットルの荷物室を装備する。最高速度である「毎時778km」は、このクラスの機種では最速で、航続距離は2037kmに及ぶ。
本田技研工業は、航空機事業への参入を創業以来の夢としていた。創業者である本田宗一郎(故人)は、小学生時代に自動車や複葉機を見た強い印象から自動車修理業に就き、後に部品製造会社を興して太平洋戦争当時は航空機の部品製造などを行っていた。敗戦後は二輪車生産から再出発し、自動車製造着手前の1962年には「誰にでも乗れる軽飛行機を開発したい」と語っている。86年には、航空機の基礎研究を開始し様々な苦節を経て、93年には同社初の実験用小型ジェット機MH02の初飛行が行われた。2003年には独自開発のジェットエンジンを開発、これをゼネラル・エレクトリック社(GE)と共同で改良を加えたのが低燃費・低エミッション(排ガス)を誇るHF120エンジンである。一般にこのクラスのジェット機は胴体後部にエンジンを置くが、同機は主翼上面に2基のエンジンを配し高速域での空力特性を向上させ、胴体からエンジン支持構造を廃止してキャビンを拡大することを実現した。また、主翼や胴体先端部の形状に自然層流設計を取り入れて、空気抵抗を減らし燃費向上を図っている。胴体はカーボン複合材一体成形構造を採用するなどにより、小型軽量化と大きな胴体内体積とを両立させている。10年12月には量産型初号機の初飛行に成功し、11年前半には米ノースカロライナ州に生産工場が完成の予定。北米及び欧州での販売価格は390万米ドル。同クラスでは最高価格帯に属するが、燃費や騒音、排ガスなどの性能に優れていることが評価につながり、受注開始日に年間生産予定数70機を上回る約100機を受注するなど、予約状況は好調という。

(金谷俊秀  ライター / 2011年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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