ヤジディ教(読み)ヤジディキョウ(その他表記)Yazidi

知恵蔵mini 「ヤジディ教」の解説

ヤジディ教

イラク北西部の山岳地帯を中心として信仰されている民俗宗教。ターウース・マラクを中心とした一神教で、2014年9月現在、50万人ほどの信者がいるとみられている。イスラム教に、ゾロアスター教、古代ペルシャの宗教、ミトラ教が入り交じって、12世紀頃に興ったとする説がある。16世紀末から17世紀初頭にかけては、イスラム教徒から悪魔崇拝の宗教ととらえられ、現代に至るまで迫害を受け続けてきた。ヤジディ教徒の大半はクルド語を話し自らをクルド人と考える者が多く、隔絶された地理条件や迫害の歴史のため、他の宗教からの改宗者を受け入れないなど非常に閉鎖的なコミュニティを形成している。1970年代後半には、サダム・フセイン元イラク大統領が、ヤジディ教徒の村を破壊し新たに建設した町「シンジャル」に信者を強制移住させた。2003年にフセイン体制が崩壊すると、シンジャルはクルド側とバグダッド政府の間で係争地となり、スンニ派の過激派組織「イスラム国」が14年8月にヤジディ教徒の女性多数を誘拐するなど、宗教・民族絶滅の危機に瀕しているともいわれている。

(2014-10-16)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

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