出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…生体細胞による光散乱は,ほとんどがミー散乱と考えられる。 一方,非弾性散乱にはラマン散乱やブリュアン散乱(ブリラン散乱ともいう)などがある。ラマン散乱は,1928年にC.V.ラマンによって初めて観測されたもので,単色光を媒質に当て,その散乱光を観測すると,入射光と同じ振動数の散乱光に混じって,入射光と少し異なる振動数の散乱光が見られた。…
…22年の《光の分子回折》と題する論文で,空の色が空気の分子による光の散乱で説明できるのとまったく同様に,海の色も水の分子による光の散乱で説明されることを示した。また23年には共同研究者の一人K.R.ラマナタンが,入射光と波長の異なる散乱光を発見したのをきっかけに,実験装置の改良によって,その散乱光の中に,散乱媒質による固有の振動数差をもつ光が混じってくることを確認し,28年に発表,さらにボーアの対応原理を用いてこの現象(ラマン散乱あるいはラマン効果と呼ばれる)を説明した。ラマン散乱の発見により,写真乾板の感光領域の限界外にある,分子の振動スペクトルや回転スペクトルの分析ができるようになり,散乱媒質の化学構造決定も可能にした。…
※「ラマン散乱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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