リーブル(その他表記)livre

翻訳|livre

改訂新版 世界大百科事典 「リーブル」の意味・わかりやすい解説

リーブル
livre

フランスの価格の単位。下位区分は,1リーブル=20スーsou(またはソルsol),1スー=12ドゥニエdenier。それぞれ,中世におけるラテン語の価格単位リブラlibra,ソリドゥスsolidus,デナリウスdenariusに対応する。中世以来,パリ系リーブルlivre parisisとその4/5の価値をもつトゥール系リーブルlivre tournoisの2系列が並存していたが,1667年の王令によりトゥール系に一本化された。1リーブルの価格に対応する貴金属(金,銀)の量は,貨幣の改鋳や評価がえに伴い変動しており,その購買力も時代により大幅に変化した。フランス革命の貨幣制度改革の中で,旧計算単位は,共和暦3年ジェルミナル18日(1795年4月7日)の法令によって廃止され,フラン,デシーム,サンティームを基本とする十進法の計算単位に変わった(ただし,今日では,デシームの単位は用いられない)。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のリーブルの言及

【貨幣】より

…リブラとソリドゥスとはデナリウスという実体貨幣の倍数を表す計算単位であり,ここにデナリウス貨を基礎とする中世ヨーロッパの貨幣制度が確立された。この計算システムはイギリスでは240ペンス=20シリング=1ポンド,フランスでは240ドニエ=20ソル=1リーブルとして長く維持された。その後ヨーロッパにおいて金の希少性がしだいに明白になり,金貨鋳造はフランク族ではカロリング朝のルートウィヒ1世(778‐840,在位814‐840)の治世以後停止され,アングロ・サクソン族でも1016年以後中断し,キリスト教ヨーロッパでは,その後,金貨は少なくとも土着の造幣所では13世紀まで鋳造されず,デナリウス銀貨だけが鋳造され,貨幣制度はデナリウス貨を基礎として統一された。…

【フラン】より

…もっとも〈フラン〉の呼称それ自体は,ジャン2世(在位1350‐64)が1360年適正な純金のドニエ貨に対しフランと命名したことに由来する。この〈フラン〉は量目が純金3.88gで,計算貨幣1リーブルlivreと正確に対応していた。リーブルとフランはフランス革命まで同義語で,区別なく使われている。…

※「リーブル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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