ローマ法王(読み)ろーまほうおう

知恵蔵の解説

ローマ法王

12億人の信者を持つローマ・カトリック教会の最高司祭。他宗派に対して「首位権」を主張するカトリックの最高指導者であることから、「イエス・キリストの代理者」「ペテロの後継者」とされる。英語圏では親しみをこめて、教父を表す「Pope(ポープ)」(ラテン語はPapa)の愛称で呼ばれる。なお、日本のカトリック教会は「教皇」の名称で統一し、これを推奨している。
法王の主な仕事は、ミサや洗礼の授与といった宗教的行為や賓客・巡礼団との会見、海外を含む布教活動などである。また、教皇庁があるバチカン市国(1929年成立)の元首でもあることから、全カトリック教会の行政・司法の長としての役割も担う。
初代法王は、12使徒の筆頭ペテロである。イエスを「神の子」と認めたペテロに、イエスが使徒の中での首位権を与えた。これが「教皇の首位権」として継承され、11世紀にイタリア人教皇グレゴリウス7世によって強化された。その後も法王は、欧州出身者が大半を占め、近世以降の約450年間はイタリア人が独占してきた。しかし1978年、264代法王にポーランド出身のヨハネ・パウロ2世が選ばれ、「行動する教皇」として東西冷戦の終結や他宗教との和解に貢献すると、2005年、続く265代もドイツ出身のベネディクト16世が選ばれた。
現266代の法王は、南米アルゼンチン出身のフランシスコ(1936年生まれ)である。2013年2月、高齢を理由にベネディクト16世が退位を表明。存命中の退位は、終身制が原則の法王職では異例のことで、新法王を決める選挙会議(コンクラーベ)には大きな注目が集まった。会議は紛糾が予測されたが、2日目にアルゼンチン人のホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿が法王に選出された。欧州以外からは、8世紀のグレゴリウス3世(シリア出身)以来で、南米からは史上初となる。質素で謙虚な人物として知られ、法王名も、アッシジ(イタリア)に修道会を創立した清貧の聖人フランシスコにちなむ。また、日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルで有名な「イエズス会」の出身でもある。

(大迫秀樹  フリー編集者 / 2013年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

世界大百科事典内のローマ法王の言及

【教皇】より

…〈ローマ教皇〉〈ローマ法王〉ともいい,単に〈法王〉と記すこともある。ローマ司教,イエス・キリストの代理者,使徒ペテロの後継者,全カトリック教会の最高司祭,西欧総大司教,イタリア首座大司教,ローマ管区首都大司教,バチカン市国元首。…

※「ローマ法王」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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