日本歴史地名大系 「吉妾郷」の解説 吉妾郷きしようごう 静岡県:伊豆国田方郡吉妾郷「和名抄」諸本にみえる郷名。訓を欠くが、キショウであろう。現沼津市西浦木負(にしうらきしよう)を遺称地とする。天平七年(七三五)の平城京跡出土木簡(「平城宮木簡概報」二二―二四・二五頁、二四―二四・二五頁)に、「棄妾郷瀬埼里」「棄妾郷許保里」「棄妾郷御津里」などとあり、当時の用字は「棄妾」であった。伴出木簡から延暦一〇年(七九一)頃のものと推定される長岡京跡出土木簡(「木簡研究」二〇―五九頁)には「田方郡吉□(妾カ)×」とみえる。現沼津市の西浦・内浦(うちうら)両地区に比定され(日本地理志料)、その範囲は東西一〇キロ以上の広域になるが、瀬埼(せざき)里・許保(こう)里・御津(みつ)里が所在した浦を中心に戸が編成されたのが実態であろう。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by