御津(読み)ミツ

デジタル大辞泉 「御津」の意味・読み・例文・類語

みつ【御津】

古代の難波なにわの港。官船の船着場として尊んでいう。難波の御津。
「葦が散る難波の―に大舟にまかいしじ貫き」〈・四三三一〉

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精選版 日本国語大辞典 「御津」の意味・読み・例文・類語

みつ【御津・三津】

  1. [ 一 ] 難波(大阪)の港津。難波の御津、墨江(住吉)の三津、大伴の御津などとも呼ばれた。官船の出入を尊んでいう。御津の浦。御津の埼。御津の浜。
    1. [初出の実例]「いざ子ども早く大和へ大伴の御津(みつ)の浜松待ち恋ひぬらむ」(出典:万葉集(8C後)一・六三)
  2. [ 二 ] 滋賀県大津市坂本一帯の古名。景行・成務・仲哀の各天皇の皇居、志賀高穴穂宮(しがのたかあなほのみや)の所在地という。三津浜。
  3. [ 三 ] ( 三津 ) 三重県度会(わたらい)郡二見町の地名。
    1. [初出の実例]「伊勢にまかりたりけるに、みつと申所にて、海辺暮と云事を神主どもよみけるに」(出典:山家集(12C後)上)
  4. [ 四 ] ( 御津 ) 兵庫県南西部の地名。播磨灘に面し、風光明媚な海岸は瀬戸内海国立公園の一部に指定されている。
  5. [ 五 ] ( 御津 ) 島根県松江市の地名。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「御津」の意味・わかりやすい解説

御津(兵庫県)
みつ

兵庫県南西部、揖保郡(いぼぐん)にあった旧町名(御津町(ちょう))。現在はたつの市の南端部を占める一地区。1947年(昭和22)御津村が町制施行。1951年御津町は室津(むろつ)村を編入。2005年(平成17)龍野(たつの)市、揖保川(いぼがわ)町、新宮(しんぐう)町と合併してたつの市となる。東端を揖保川が限り、播磨灘(はりまなだ)に面した旧町域は東西に延び、国道250号が海岸線沿いに走る。室津港は古代から摂播五泊にあげられた要港で、江戸時代には室津千軒といわれるほど栄えた。脇本陣として使われた豪商の建物を利用して室津民俗館、室津海駅館がつくられている。農業は野菜や電照ギクなどの花卉(かき)栽培が中心で、ウメの栽培を奨励している。室津・岩見の漁業はカキやノリの養殖へ転換。賀茂(かも)神社の本殿など8棟の建物や見性寺(けんしょうじ)の寺宝木造毘沙門天(びしゃもんてん)立像(平安時代)は国指定重要文化財。綾部(あやべ)山梅林は梅の名所、新舞子(しんまいこ)など海岸一帯は瀬戸内海国立公園の一画である。

[大槻 守]

『『御津町史』全4巻(1997~2003・御津町)』


御津(岡山県)
みつ

岡山県中南部、御津郡にあった旧町名(御津町(ちょう))。現在は岡山市北区の北部を占める地域。旧御津町は、1953年(昭和28)御津郡金川(かながわ)町(1915年町制)と牧山(まきやま)、宇垣(うがき)、宇甘東(うかいひがし)、宇甘西の4村、赤磐(あかいわ)郡五城(ごじょう)、葛城(かつらぎ)の2村が合併して成立。1956年布都美(ふつみ)村の一部を編入。2005年(平成17)岡山市に編入。旭(あさひ)川と支流宇甘川の流域で、谷底平野と吉備(きび)高原からなる。JR津山線と国道53号が南北に通じる。中心地区の金川には中世の金川城跡があり、近世は岡山藩家老日置(ひき)氏の陣屋が置かれた。妙覚寺(みょうかくじ)は日蓮(にちれん)宗不受不施(ふじゅふせ)派の本山。鹿瀬(かせ)には日蓮講門宗本山本覚寺がある。南部は温室ブドウの産地。そのほか、特産物としてヤマノイモシイタケがある。岡山市街地への通勤圏で住宅団地、工業団地の造成が進んでいる。

[由比浜省吾]

『『御津町史』(1985・御津町)』


御津(愛知県)
みと

愛知県南東部、宝飯郡(ほいぐん)にあった旧町名(御津町(ちょう))。現在は豊川(とよかわ)市の南西部を占める一地区。旧御津町は1930年(昭和5)町制施行。1955年大塚村の一部を編入。2008年(平成20)豊川市に編入。渥美(あつみ)湾に臨む町でJR東海道本線、国道23号が通じる。古代三河(みかわ)国宝飫(ほお)郡の御津郷で、国府(こう)の外港御津があった。音羽川(おとわがわ)河口の御馬(おんま)港は江戸時代三河五箇所湊(みなと)の一つ。『万葉集』に「引馬野に匂ふ榛原(はいばら)入り乱り衣にほはせ旅のしるしに」と詠まれた引馬野(ひくまの)や安礼乃崎(あれのざき)は当地の海岸部の地名との説が有力である。1888年(明治21)東海道本線が開通し、旧御油(ごゆ)駅(現、愛知御津駅)が設置されてから発展した。繊維工業と食品加工業が盛ん。農業は施設園芸が中心で、とくにシクラメンの栽培が盛んである。絹本著色王宮曼荼羅(まんだら)図、法住(ほうじゅう)寺の千手観音(せんじゅかんのん)立像は国の重要文化財。

[伊藤郷平]

『『御津町史資料』14冊(1961~1966・御津町)』『『御津町史』全4巻(1980~1990・御津町)』

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百科事典マイペディア 「御津」の意味・わかりやすい解説

御津[町]【みつ】

兵庫県南西部,揖保(いぼ)郡の旧町。揖保川河口の右岸を占め播磨(はりま)灘に臨む。農漁業を行うほか,プラスチック加工,皮革加工も行う。海岸は瀬戸内海国立公園に属し,潮干狩の適地。西部に古い港町室津(むろつ)がある。2005年10月,龍野市,揖保郡新宮町,揖保川町と合併し市制,たつの市となる。17.97km2。1万2196人(2003)。

御津[町]【みつ】

岡山県中南部,旭川の谷底平野と周辺高原からなる御津郡の旧町。主集落金川(かながわ)は南北朝時代には備前守護代松田氏の城下町で,江戸時代には岡山藩家老の陣屋が置かれ,河港,宿場町として栄えた。日蓮宗不受不施派本山妙覚寺がある。ヤマノイモ,果樹,シイタケを栽培。2005年3月児島郡灘崎町と岡山市へ編入。114.42km2。1万462人(2003)。

御津[町]【みと】

愛知県南東部,渥美湾奥の宝飯(ほい)郡の旧町。中心は東海道本線が通じる駅前集落の西方(にしがた)と,江戸時代の積出港であった音羽川河口の御馬(おんま)。綿織物も産し,湾岸は東三河工業整備特別地域の三河港の一部。2008年1月宝飯郡音羽町と豊川市へ編入。19.00km2。1万3456人(2005)。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「御津」の意味・わかりやすい解説

御津
みつ

兵庫県南西部,たつの市南部の旧町域。播磨灘に臨む。 1947年町制。 1951年室津村と合体。 2005年龍野市,新宮町,揖保川町と合体して,たつの市となった。休養観光の町で,東から西へ白砂青松の新舞子浜,「七曲がり」と呼ばれる岩石海岸室津沈水海岸と,瀬戸内海国立公園に属する景勝地が続く。姫路市広畑に隣接し,播磨工業地域の西部を占める。室津はかつての摂播五泊の一つで,江戸時代は大名が参勤交代に利用し,浜本陣があった。室津の賀茂神社は国指定重要文化財。岩見梅林,綾部山梅林などでも有名。

御津
みと

愛知県南東部,豊川市南西部の旧町域。渥美湾に臨む。1930年町制。1955年大塚村の一部を編入。2008年豊川市に編入。かつての三河五港の一つ御馬(おんま)は音羽川の河口にあり,国府の外港であった。西半は大部分が丘陵地で,ほかは豊橋平野が占める。豊川用水の通水によって水利の悪い町の農業を変え,野菜,果樹の栽培や施設園芸が発展。綿織物,食品工業も行なわれる。沿岸部ではノリの養殖も盛んであったが,1964年湾岸一帯は東三河工業整備特別地域に指定され,埋め立てが進んだ。一部が三河湾国定公園に属する。1889年に開通した東海道本線が,御油ほか旧宿場町を通らず蒲郡経由となったため,現在の御津領域にあった当時の西方村に郡行政中心地名の御油駅が設置された。1948年に駅名は愛知御津に改称された。

御津
みつ

岡山県南部,岡山市北部の旧町域。旭川中流域,およびその支流の宇甘川(うかいがわ)流域と吉備高原からなる。1953年金川町と宇甘西村,宇甘東村,宇垣村,葛城村,五城村の 5村,および牧山村の一部が合体して御津町が成立。1956年布都美村の一部を編入。2005年岡山市に編入。中心地区の金川は旭川と宇甘川の合流点にあり,古くから開けた河港。戦国時代は備前守護代松田氏の城下町,近世は岡山藩の家老日置氏の陣屋町であった。イネ,ブドウ(マスカット),モモを多く栽培する。日蓮宗不受不施派の本山,妙覚寺がある。一部は吉備清流県立自然公園に属する。

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改訂新版 世界大百科事典 「御津」の意味・わかりやすい解説

御津(兵庫) (みつ)


御津(岡山) (みつ)


御津 (みと)

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世界大百科事典(旧版)内の御津の言及

【鹿島[町]】より

…島根半島の中央部に位置し,北は日本海に臨み,南は松江市に接する。日本海に注ぐ佐陀川の河口にある中心集落の恵曇(えとも)は,東部の御津(みつ)とともに漁業集落として発展し,魚市場や冷凍設備があり,県東部の漁業中心地になっている。かまぼこや缶詰の製造など水産加工業が盛んで,鮮魚行商の従事者が多い。…

※「御津」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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