多発性内分泌腫瘍症

内科学 第10版 「多発性内分泌腫瘍症」の解説

多発性内分泌腫瘍症(内分泌系の疾患)

 2つ以上の内分泌腺腫瘍または過形成が特定の組み合わせで生じる病態を多発性内分泌腫瘍症とよぶ.家族性に発生することが多く,遺伝性疾患である.本症は腫瘍発生内分泌腺の組み合わせにより1型と2型に分かれる.1型,2型ともにそれぞれの原因遺伝子が同定され,本症の疾患概念は確立された.[平田結喜緒]
■文献
Brandi ML, Gargel RF, et al: Guideline for diagnosis and therapy of MEN type1 and type2. J Clin Endocrinol Metab, 86: 5658-5671, 2001.Gargel RF, Marx SJ: Multiple endocrine neoplasia. In: Williams Textbook of Endocrinology(Larsen PR, Kronenberg HM, et al eds),pp1717-1762, WB Saunders, Philadelphia, 2008.Hoff AO, Gargel RF: Multiple endocrine neoplasia type2. In: Endocrinology(DeGroot LJ, Jameson JL eds),pp3533-3550, Elsevier Saunders, Philadelphia, 2005.Thakker RN: Multiple endocrine neoplasia type1. In: Endocrinology(DeGroot LJ, Jameson JL eds),pp3509-3531, Elsevier Saunders, Philadelphia, 2005.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

六訂版 家庭医学大全科 「多発性内分泌腫瘍症」の解説

多発性内分泌腫瘍症
(内分泌系とビタミンの病気)

 MEN (multiple endocrine neoplasia) と略称されます。同一家系のなかに、特定の組み合わせの内分泌腺の腫瘍が多数発生する病気です。

 腫瘍は必ずしも同時でなく、年単位のずれをもって発生することがよくあります。このためMENに属する腫瘍がひとつでも見つかった時には(とくに甲状腺髄様(こうじょうせんずいよう)がんと褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ))、合併する可能性のある腫瘍を除外する検査がすすめられます。特徴的な遺伝子の変異が知られています。

 MEN1型:Menin遺伝子の変異。副甲状腺過形成 + (すい)内分泌腫瘍(ガストリノーマ、インスリノーマ等)+ 下垂体(かすいたい)腫瘍(プロラクチノーマ等)。

 MEN2型:RET遺伝子の変異。2A型は甲状腺髄様がん + 褐色細胞腫 + 副甲状腺過形成。2B型は副甲状腺過形成の代わりに多発性粘膜神経腫(たはつせいねんまくしんけいしゅ) + マルファン症候群様体型。

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