熱帯太平洋では、平常時には東から吹く貿易風によって赤道付近の温かい表層海水が、西側のインドネシア海域に吹き寄せられて29℃に達する暖水の溜り(warm water pool)を作り、海面高度も上昇する。その上の大気には上昇気流を生じて低気圧となり、雨を降らす。この状態が極端になると東風が弱まって暖水が東向きに動き出してペルー沖に異常を引き起こし、エルニーニョとなる。同様に暖水プールと暖水・冷水間の東西シーソー現象がインド洋にも発生し、ダイポール・モード(dipole mode)現象と呼ぶ。日本の猛暑・暖冬などの異常気象は、エルニーニョとダイポール・モードとの関係が深い。両者は、同時に起こる年もあるし、一方だけが発生することもある。