福音史家(読み)ふくいんしか(その他表記)evangelist

翻訳|evangelist

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「福音史家」の意味・わかりやすい解説

福音史家
ふくいんしか
evangelist

新約聖書では使徒 apostoloiや預言者 prophētēsとは区別された伝道者に対して使われていたが,3世紀に福音書が euaggelionと呼ばれるようになってからは福音書の筆者に適用されるようになり,特に新約正典である4福音書の筆者マタイ,マルコ,ルカ,ヨハネを4人の福音史家と呼ぶのが一般的となった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の福音史家の言及

【受難曲】より

…ローマ・カトリック教会の典礼では,〈枝の主日〉にマタイ,〈聖火曜日〉にマルコ,〈聖水曜日〉にルカ,〈聖金曜日〉にヨハネの該当の個所を読誦する習わしがあった。12世紀以降は,イエスの言葉vox christiは低い声で荘重に,福音史家evangelistaの語りは中庸の声で,その他の人物と群衆の声turbaは高い声で早目に,それぞれの役柄をわけて朗誦するのが一般的となった。基準となる音高はルネサンスの時代には,ヘ音,音,音に定まり,グレゴリオ聖歌の簡素な読誦形式の一種である〈受難の読誦〉の旋律定式〈トヌス・パッシオニスtonus passionis〉が用いられた。…

※「福音史家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android